
昨秋、102歳で亡くなった祖母の能登上布を譲り受け……

今春、「山本きもの工房」にお願いしていたお仕立てが上がってきた。

手持ちの宮古上布と並べてみる。
ぱっと見は似た色だが、こうしてみるとかなり違う。光沢も。

しゅっ、しゅっと、しつけ糸が糊のきいたままの布を滑る。
その微かな音が、軽く小気味よく、昼下がりの和室にリズムを刻む。
「糸が染まって見える…!」少し糸を持ち上げると、反射なのだろうか
薄い藍色に変化して(写真左の方)。
しつけ糸なのに、取り去るのが惜しくなり、
しばらく布に翳し眺めていた。

この日は、着物友達6人で食事会&イラストレーター 岡田知子さんの
個展を観に。
幸い気をもませた雨も降らず、
新しい夏着物を下すにはまずまずの天気予報。
麻の型絵染めの帯に、薄緑の絽の帯揚げ、そして
道明のピンクの帯締めを合わせた。
祖母の能登上布は、以前も書いたが40年以上前に織られたもので、
糸がとても細い。
山本師匠の腕はいうまでもなく、で、
体によく沿う、軽く着やすい着物になった。

何よりも……、早く父に写真を送りたくて、
お友達に頼んで撮ってもらった一枚。
天の上にいるであろう祖母や、母にも、
暑中見舞い代わりにこの姿、届くといいな。