超空洞からの贈り物

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温暖化、氷河期到来を凌ぐ勢いで進行中

2009年09月06日 10時30分38秒 | 自然
 北極の気候変動に関する最大規模の調査により、次の氷河期の到来に人間がブレーキをかけているということがわかった。2000年前と比べ北極地方では温暖化が進んでいるが、これが地軸の揺らぎによって起こる地球の寒冷化傾向を逆転させているという。

 これまで研究者が注目していたのは、400年前の北極地方の気温に関するデータだった。

 コロラド大学ボルダー校にある極地・高山研究所(INSTAAR:Institute of Arctic and Alpine Research)のギフォード・ミラー氏は、「このデータから、気温は20世紀に入って急上昇したことがわかったが、その原因が人間の生み出す温室効果ガスにあるのか、それとも気候の自然な変化にあるのかは定かではなかった」と説明する。

 そこでミラー氏らの研究チームが400年前よりはるか昔の気温を調べたところ、20世紀の急激な温暖化は、数千年にわたる寒冷化の進行を上回るほどだったことがわかったのだ。「これだけ温暖化が進んでしまった原因として最も理にかなうのは、温室効果ガスの増加だ」と同氏は言う。

 研究チームが作成した気候モデルは、堆積物コアや年輪などに関するフィールドデータと見事に一致しており、同チームの考えを強固に裏付けているという。「最終的には地球は氷河期に突入するだろうが、何千年も何万年も先の話である可能性が高い」と同氏は付け加えている。

 太陽に対する地球の角度は、自転軸(地軸)の傾きの自然な変動によって2万6000年周期で変化している。地軸の傾きが四季を作り出すが、この7000年間にわたる地球の傾きの変動によって、地球が太陽に最も接近する時期が9月から1月に変化した。

 これは、北極地方では夏場の太陽光が弱くなっていることを意味している。つまり北極地方は寒冷化が進んでいると考えられるのだ。

 過去の気温を算出するため、研究チームは北極地方の湖の堆積物を調査し、氷河コアや木の年輪に関するこれまでのデータを確認した。さらに、コロラド州ボルダーにあるアメリカ国立大気研究センター(NCAR)で、地球環境のコンピューター・モデルの分析を行った。

 ミラー氏の研究チームは、地球の傾きによって生じる揺らぎが、寒冷期において1000年ごとに0.2度ずつ、北極地方の気温を低下させていることを発見した。

 しかし1990年代半ば、人間がもたらした地球温暖化が気温の低下傾向を上回ってしまったのだ。この数十年で、気温はおよそ1.4度上昇している。実際、この2000年間で最も気温が高いのは、1950年から2000年までの50年間だという。

 気候変動が最も強い影響を及ぼしているのは北極地方であり、そこでは温暖化が地球上で最も速く進行している。これは、夏場の海氷と永久凍土の融解によって北極地方の気温が大きく左右されるためだ。

 2007年に最低量を記録した夏場の北極海域の氷は、2030年には完全に消滅すると言われている。白い氷が存在しなければ、太陽光は大気へ反射されず海の底へと吸収されてしまう。これが北極地方の温暖化を加速させるのだ。永久凍土の融解によって、凍土内に潜んでいた温室効果ガスの二酸化炭素とメタンは既に放出され始めている。

 ミラー氏は次のように語る。「温暖化が今後も進行していくことは間違いない。北極地方はその影響を大きく受けることになるだろう。しかし最大の問題は、氷が溶けると海水位が上昇するという事実だ。つまりこれは地球規模の問題であり、その影響は甚大なものとなるだろう」。

 この研究結果は2009年9月4日発行の「Science」誌に掲載されている。

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