イエスの生涯 11-2 十字架にかかるイエス
○
王として来られる救い主 (キリスト)
(イザヤ9:5,6)
「ひとりのみどりごが
わたしたちのために生まれた。
ひとりの男の子が
わたしたちに与えられた。
権威が彼の肩にある。
その名は,
『驚くべき指導者,力ある神,
永遠の父,平和の君』と唱えられる。
ダビデの王座とその王国に権威は増し,
平和は絶えることがない。
王国は正義と恵みの業によって,
今もそしてとこしえに,
立てられ支えられる。
万軍の主の熱意がこれを成し遂げる。」
預言者のイザヤが,
王としてのキリストを示しています。
旧約聖書の預言は,
その中心がキリストについてです。
その中でも,イザヤ書は,
最もよくキリストの姿を示しています。
特に,王としてのキリストと,
しもべとしてのキリストという預言は,
キリストの受難と栄光という
キリストの全体を,
きわめて美しく示しています。
(イザヤ9:1‐7,11:1‐9,32:1‐8,
52:13-53:12).
(イザヤ9:1-6)
「闇の中を歩む民は,
大いなる光を見,
死の陰の地に住む者の上に,
光が輝いた。
あなたは深い喜びと,
大きな楽しみをお与えになり,
人々は御前に喜び祝った。
刈り入れの時を祝うように,
戦利品を分け合って楽しむように。
彼らの負う軛,肩を打つ杖,
虐げる者の鞭を,
あなたはミディアンの日のように,
折ってくださった。
地を踏み鳴らした兵士の靴,
血にまみれた軍服はことごとく,
火に投げ込まれ,焼き尽くされた。
ひとりのみどりごが
わたしたちのために生まれた。
ひとりの男の子が
わたしたちに与えられた。
権威が彼の肩にある。
その名は,
「驚くべき指導者,力ある神,
永遠の父,平和の君」
と唱えられる。
ダビデの王座とその王国に権威は増し,
平和は絶えることがない。
王国は正義と恵みの業によって,
今もそしてとこしえに,
立てられ支えられる。
万軍の主の熱意がこれを成し遂げる。」
○
しもべとしてのキリスト
(イザヤ53:3)
「彼は軽蔑され,
人々に見捨てられ,
多くの痛みを負い,
病を知っている。
彼はわたしたちに顔を隠し,
わたしたちは彼を軽蔑し,
無視していた。」
イザヤはへりくだった,
しもべとしてのキリストを示しました。
イエスの時代のイスラエルの民の多くは,
栄光のキリストを待っていましたが,
しもべとしてのキリストは
わかりませんでした。
(イザヤ53:1-6)
「わたしたちの聞いたことを,
誰が信じえようか。
主は御腕の力を誰に示されたことがあろうか。
乾いた地に埋もれた根から生え出た若枝のように,
この人は主の前に育った。
見るべき面影はなく,
輝かしい風格も,
好ましい容姿もない。
彼は軽蔑され,
人々に見捨てられ,
多くの痛みを負い,病を知っている。
彼はわたしたちに顔を隠し,
わたしたちは彼を軽蔑し,
無視していた。
彼が担ったのはわたしたちの病,
彼が負ったのはわたしたちの痛みであったのに,
わたしたちは思っていた。
神の手にかかり,打たれたから,
彼は苦しんでいるのだ,と。
彼が刺し貫かれたのは,
わたしたちの背きのためであり,
彼が打ち砕かれたのは,
わたしたちの咎のためであった。
彼の受けた懲らしめによって,
わたしたちに平和が与えられ,
彼の受けた傷によって,
わたしたちはいやされた。
わたしたちは羊の群れ,
道を誤り,
それぞれの方角に向かって行った。
そのわたしたちの罪をすべて,
主は彼に負わせられた。」
○
「エリ,エリ,レマ,サバクタニ。」
(マタイ27:46)
「三時ごろ,
イエスは大声で叫ばれた。
『エリ,エリ,レマ,サバクタニ。』
これは,
『わが神,わが神,
なぜわたしをお見捨てになったのですか』
という意味である。」
苦難のしもべとしての,
キリストは十字架によって,
あらわされています。
イエス・キリストは王であり,
苦難のしもべでもがありました。
イエスは,植民地であったイスラエルが,
ローマの支配から解放されることを
人々から期待されていました。
○
一緒に楽園にいる
(ルカ23:42)
「イエスよ,
あなたの御国においでになるときには,
わたしを思い出してください」
犯罪人の一人の,イエスへのことばです。
この犯罪人は,イエスが罪を犯していないこと,
御国に行くことを認めています。
十字架で,
イエスに対する信仰と悔い改めの告白です。
(ルカ23:43)
「するとイエスは,
『はっきり言っておくが,
あなたは今日わたしと
一緒に楽園にいる』
と言われた。」
イエスは十字架にかかったことは,
この犯罪人と同じようになることでした。
わたしたちもまた,
この犯罪人と同じように神の前では罪人です。
しかし,
この犯罪人のようにキリストに信頼をおき,
イエスを信じるなら,
楽園(天国)に行けるのです。
イエスは,十字架の上で,
わたしたちのために苦しんでくださいました。
☆彡
犯罪人と共に十字化につけられる
(ルカ23:39-43)
十字架にかけられていた犯罪人の一人が,
イエスをののしった。
「お前はメシアではないか。
自分自身と我々を救ってみろ。」
すると,もう一人の方がたしなめた。
「お前は神をも恐れないのか,
同じ刑罰を受けているのに。
我々は,
自分のやったことの報いを
受けているのだから,
当然だ。
しかし,
この方は何も悪いことをしていない。」
そして,
「イエスよ,
あなたの御国においでになるときには,
わたしを思い出してください」と言った。
するとイエスは,
「はっきり言っておくが,
あなたは今日わたしと一緒に楽園にいる」
と言われた。
○
復活のイエスがトマスにあらわれる
(ヨハネ20:27,28)
「それからトマスに言われた。
『あなたの指をここにつけて,
わたしの手を見なさい。
手を伸ばして,
わたしのわきに差し入れなさい。
信じない者にならないで,
信じる者になりなさい。』
トマスは答えてイエスに言った。
『私の主。私の神。』」
弟子たちと共に,
現れた復活したイエスに
トマスは会えませんでした。
そののち,
トマスも復活したイエス・キリストに
会います。
復活したイエス・キリストは,
十字架につけられた同じ方でした。
イエスとトマス
(ヨハネ20:24-29)
十二弟子のひとりで,
デドモと呼ばれるトマスは,
イエスが来られたときに,
彼らといっしょにいなかった。
それで,ほかの弟子たちが彼に
「私たちは主を見た」と言った。
しかし,トマスは彼らに
「私は,その手に釘の跡を見,
私の指を釘のところに差し入れ,
また私の手をそのわきに差し入れてみなければ,
決して信じません」と言った。
八日後に,弟子たちはまた室内におり,
トマスも彼らといっしょにいた。
戸が閉じられていたが,
イエスが来て,彼らの中に立って
「平安があなたがたにあるように」と言われた。
それからトマスに言われた。
「あなたの指をここにつけて,
わたしの手を見なさい。
手を伸ばして,
わたしのわきに差し入れなさい。
信じない者にならないで,
信じる者になりなさい。」
トマスは答えてイエスに言った。
「私の主。私の神。」
イエスは彼に言われた。
「あなたはわたしを見たから信じたのですか。
見ずに信じる者は幸いです。」
○
(詩編31:5)
「隠された網に落ちたわたしを
引き出してください。
あなたはわたしの砦。」
○
詩編31
(指揮者によって。賛歌。ダビデの詩。)
主よ,御もとに身を寄せます。
とこしえに恥に落とすことなく
恵みの御業によってわたしを助けてください。
あなたの耳をわたしに傾け
急いでわたしを救い出してください。
砦の岩,城塞となってお救いください。
あなたはわたしの大岩,わたしの砦。
御名にふさわしく,わたしを守り導き
隠された網に落ちたわたしを引き出してください。
あなたはわたしの砦。
まことの神,主よ,
御手にわたしの霊をゆだねます。
わたしを贖ってください。
わたしは空しい偶像に頼る者を憎み
主に,信頼します。
慈しみをいただいて,
わたしは喜び躍ります。
あなたはわたしの苦しみを御覧になり
わたしの魂の悩みを知ってくださいました。
わたしを敵の手に渡すことなく
わたしの足を
広い所に立たせてくださいました。
主よ,憐れんでください
わたしは苦しんでいます。
目も,魂も,はらわたも
苦悩のゆえに衰えていきます。
命は嘆きのうちに
年月は呻きのうちに尽きていきます。
罪のゆえに力はうせ
骨は衰えていきます。
わたしの敵は皆,わたしを嘲り
隣人も,激しく嘲ります。
親しい人々はわたしを見て恐れを抱き
外で会えば避けて通ります。
人の心はわたしを死者のように葬り去り
壊れた器と見なします。
ひそかな声が周囲に聞こえ
脅かすものが取り囲んでいます。
人々がわたしに対して陰謀をめぐらし
命を奪おうとたくらんでいます。
主よ,わたしはなお,あなたに信頼し
「あなたこそわたしの神」と申します。
わたしにふさわしいときに,御手をもって
追い迫る者,
敵の手から助け出してください。
あなたの僕に御顔の光を注ぎ
慈しみ深く,わたしをお救いください。
主よ,あなたを呼びます。
わたしを恥に落とすことなく
神に逆らう者をこそ恥に落とし
陰府に落とし,黙らせてください。
偽って語る唇を封じてください
正しい人を侮り,驕り高ぶって語る唇を。
御恵みはいかに豊かなことでしょう。
あなたを畏れる人のためにそれを蓄え
人の子らの目の前で
あなたに身を寄せる人に,
お与えになります。
御もとに彼らをかくまって
人間の謀から守ってくださいます。
仮庵の中に隠し
争いを挑む舌を免れさせてくださいます。
主をたたえよ。
主は驚くべき慈しみの御業を
都が包囲されたとき,
示してくださいました。
恐怖に襲われて,わたしは言いました
「御目の前から断たれた」と。
それでもなお,
あなたに向かうわたしの叫びを
嘆き祈るわたしの声を
あなたは聞いてくださいました。
主の慈しみに生きる人はすべて,
主を愛せよ。
主は信仰ある人を守り
傲慢な者には厳しく報いられる。
雄々しくあれ,心を強くせよ
主を待ち望む人はすべて。
○
(マタイ20:28)
「人の子が,
仕えられるためではなく仕えるために,
また,多くの人の身代金として
自分の命を献げるために
来たのと同じように。」
2018-08-23