13.「聖霊の働き」
ヨハネによる福音書16章1-15節
(聖霊の働き)
「しかし,その方,すなわち,
真理の霊が来ると,
あなたがたを導いて
真理をことごとく悟らせる。
その方は,自分から語るのではなく,
聞いたことを語り,
また,これから起こることを
あなたがたに告げるからである。」
(ヨハネ16:13)
Ⅰ
(ヨハネ16:1-15
聖霊の働き)
「真理はあなたたちを自由にする。」
(ヨハネ8:32)
これは,イエスさまが御自分を信じた
ユダヤ人たちに言われた言葉です。
わたしはこの言葉を何回も読んでいましたが,
自分との関わりの中で読んでいませんでした。
この言葉が深く関わる言葉となったのは,
父との会話をとおしてでした。
父は地方の国立大学で教壇に立っていました。
インターネットなど普及していない時代の
地方での学問研究でしたから,
上京する度に国会図書館に行き,
新しく出版された研究書を調べていました。
その国会図書館に,
「真理は自由にする」という言葉が,
掲げてあると言うのです。
その原文はギリシャ語です。
「お前はギリシャ語を習っているから,
ギリシャ語ではどう書かれているか」
と聞きました。
そこで,ギリシャ語の聖書を調べて,
父に教えることができたのです。
それ以来,
「真理はあなたたちを自由にする」
(ヨハネ8:32)
という言葉は忘れられなくなりました。
このように,言葉というものは,
関係性を持って受け取るときに心に残ります。
今日,わたしたちは
三位一体主日の礼拝を守っています。
わたしたちは,イエスさまから,
イエス・キリストの父なる神と弁護者である
真理の御霊のお働きを教えていただきます。
イエスさまは父なる神様と御霊と,
どのような関係にあるのでしょうか。
このことは,今日の聖書箇所の中で,
明らかになっています。
Ⅱ
(ヨハネ16:12-15 聖霊の働き)
今日の聖書箇所は,
過越祭(すぎこしさい)の前のことです。
弟子のユダはイエスさまを売り渡すために,
食事の席から夜の闇に消えて行きます。
その後,イエスさまは弟子たちに別れを伝え,
「互いに愛し合いなさい。」
(ヨハネ15:17)
という新しい戒めをお与えになります。
そして,イエスさまは真理の御霊を送ることを
次のように約束してくださいました。
「わたしが去って行かなければ,
弁護者はあなたがたのところに
来ないからである。
わたしが行けば,
弁護者をあなたがたのところに送る。」
(ヨハネ16:7)
そして,御霊のお働きを
次のように教えてくださいます。
「その方が来れば,
罪について,義について,
また,裁きについて,
世の誤りを明らかにする。」
(ヨハネ16:8)
そして,次のように言われます。
「言っておきたいことは,
まだたくさんあるが,
今,あなたがたには理解できない。」
(ヨハネ16:12)
この言葉に,イエスさまの別れに臨んでの
お気持ちがよく現われています。
言いたいことはたくさんあるが,
今は,それに弟子たちには,
理解できないと言われます。
この箇所を口語訳聖書で読みますと,
次のようになっています。
「わたしには,
あなたがたに
言うべきことがまだ多くあるが,
あなたがたは今はそれに堪えられない。」
(ヨハネ16:12口語訳)
この方が,
イエスさまのお気持ちをよく伝えています。
今は受け止めることのできない弟子たちに,
おっしゃいました。
「真理の霊が来ると,
あなたがたを導いて真理を
ことごとく悟らせられる。
その方は,自分から語るのではなく,
聞いたことを語り,
また,これから起こることを
あなたがに告げるからである。
その方はわたしに栄光を与える。
わたしのものを受けて,
あなたがたに告げるからである。」
(ヨハネ16:13,14)
御霊は新しいことを
教えてくださるのではなく,
イエスさまがお語りになったことを
わたしたちに思い起こさせてくださるのです。
このことによって,
御霊なる神様は
イエスさまに栄光をお与えになります。
イエスさまのものを受けて
教えてくださるからです。
そして,イエスさまは言われました。
「父が持っておられるものはすべて,
わたしのものである。
だから,わたしは,
『その方がわたしのものを受けて,
あなたがたに告げる』
と言ったのである。」
(ヨハネ16:15)
神様のものはイエスさまのもの,
イエスさまのものは御霊のもの,
御霊のものは神様のものです。
神様から出ている同じ真理を,
わたしたちはイエスさまとのかかわりからも,
御霊とのかかわりからも理解できます。
御霊は真理を悟らせることによって,
イエスさまに栄光をお与えになります。
そして,御霊はわたしたちのところに,
わたしたちの心のうちに来てくださっています。
イエスさまは次のように言われます。
「この方は,真理の霊である。
世は,この霊を見ようとも
知ろうともしないので,
受け入れることができない。
しかし,
あなたがたはこの霊を知っている。
この霊があなたがたと共におり,
これからも,
あなたがたの内にいるからである。」
(ヨハネ14:17)
わたしたちを愛してくださる
神様の愛はわたしたちに命を与え,
イエスさまの十字架によって
神様との和解をもたらし,
御霊によってわたしたちに救いを
もたらしてくださいます。
(松隈 牧師)
2019-06-12