上北沢暗室雑記帳

写真に関するよしなしごとを

白新線・米坂線・フラワー長井線

2010年07月17日 11時26分04秒 | テツ
 暑いところには暑い時期に、なんて格好付けて去年の7月はベトナムに行ったらほんとに暑くてイヤになったので、涼しめのところにちょろっと乗りテツでも、と思い浮かんだのが山形。未乗線はないのだが、しばらく行ってないのでよいかなと。
 ウィークエンドパスとかスリーデーパスとか、1日あたり18きっぷの倍くらいの値段で、特急券を買えば特急に乗れるフリー乗車券が発売されたので、新幹線でばーんと遠くに行ってから鈍行の旅、というのに丁度よさげで今回使ってみた。


 7月10日11時過ぎに新潟着。11:40発白新線経由村上行きに乗るつもりだったが、途中の豊栄まで行く電車がホームに停まっていたのでそれに乗る。20分ほどで豊栄着。途中、信濃川を長い鉄橋で渡った。豊栄駅は駅舎の新しい郊外の私鉄駅の風情。ここまでは20分に一本の間隔で電車がある。新潟駅にいるよりもすることがないホームでぼけっとしていると、ピカピカのE127系に代わって115系の6両編成がやってきた。各ボックス席に一人ずつ程度の混み具合。斜め前の席の子どもが暇を持て余してごそごそ動き回っているのをスナップしているうちに45分ほどで坂町に着いた。
 次の米沢行きまで45分あまり。草ぼうぼうの駅構内を眺めていてもしようがないので、駅前を軽く散歩。どうってことはなかった。


 暗雲たれ込める中、キハ110系1両きりの列車に乗り込む。それなりの乗車率。雨雲につつまれる正面の山に突き進んでいく。新潟山形県境を過ぎるあたりから雨が降り出す。


 県境から二駅あたりのところで、雨量が35km/h徐行レベルに達したとのことで速度が落ちる。次の駅では運転見合わせになるかも、とのアナウンスも。雨が激しく窓をたたく。定刻よりだんだん遅れが増していくが、今日は山形泊まりなので、完全に止まってしまわない限りはなんとでもなる。かすかに車内がざわめきつつ、雨音がだんだんと小さくなっていって、今泉で雨はほぼ上がった。山形鉄道フラワー長井線の列車が上下線とも、十数分遅れのこの便を待っていてくれたようだ。このあと長井線にも乗る予定だが、まずは米坂線の終点米沢まで行く。
 あと一駅のところで数分停車。遅れを取り戻そうと果敢にスピードアップしてきたかのように見えたが大きなロス。運転手がいらいらと無線に呼びかけている。応答がなくて携帯電話でなにやら怒鳴っていたが、ほどなく動き出して米沢着。30分ほどで折り返す予定だったので、十数分の遅れは問題なし。ここでも駅前をちょろっと歩き回ってみた。渡部さとるの写真を思い出しつつも、イメージがかぶるところは特になし。駅前に関してはよくある地方駅の風情。
 折り返しの便は110とE120の2両編成。せっかくなのでE120に乗ってみる。この冬の只見線行であやうく間違えて乗りそうになったクルマだ。新しい分きれいなのはよいが、椅子の座り心地が恐ろしく悪い。発車前の車窓に大きな虹が見えた。


 20分ほど戻って今泉、長井線荒砥行きに乗り換え。今回出かけてくる前に宮脇俊三の時刻表2万キロの左沢線・長井線の章を読み返してみたのだが、長井線に関する記述は1頁程度に過ぎず、この今泉で玉音放送を聞いた想い出により多くの紙数をさいていた。また、私自身が前回来たときの、夕陽を背に長い影を落とす駅舎の風景も記憶に残っていたので、ぜひ駅前に出てみたかったのだが、乗換時間が4分しかないので割愛。乗ってきた米坂線列車を跨線橋から見送った。


 長井線の車内には七夕飾りがあった。途中から大挙して乗り込んできた高校生の一人が、冷やかされながら備え付けの短冊になにやら書いて結んでいた。


 車窓は、米坂線の山奥を除いて今朝からずっとそうだが、青々とした水田が一面に広がる気持ちのよい風景。ところがこの長井線沿線はその昔ツツガムシの大発生地だったことを宮脇は書いている。ほぼ根絶されたようだが、ときどき刺されて発症者が出るらしいことがネットを見るとわかる。今泉から30分ほどで荒砥着。


 こぎれいな駅舎が建っているが、20年前の前回の写真を掘り出してきたらこんなに渋い終着駅だった。


 この長井線、乗ったことがあるのかどうか思い出せなかったのだが、三セク山形鉄道の開業が1988年10月とのことで、その前月に乗っていたことになる。国鉄色のキハの右脇に、今日乗ってきたのと同じカラーリングの気動車が写っている。
 じっくりと駅前なども観察したかったのだが、わずか5分で折り返しのところ、なぜか団体客が騒然としていて、おまけに先週からひいていた風邪が悪化し相当熱が出てきていて半ばもうろうとホームで数枚写真を撮ったただけで車内に戻った。
 がやつく車内で添乗の山形鉄道職員がハンドマイクで車窓を案内する。到着する駅ごとに由来を述べて「ここで落ちる人はいねえべか」と優しい口調のアナウンス。四季の郷駅は宅地開発とともに開業したのに空き地ばかり。坪4万円、ぜひ買って下さいとのこと。あやめ公園駅は寄付を募ってできた駅だが、駅舎を建てる資金がなくて、最寄りの長井工業高校の生徒が手作りしたものだとか。立派な作りだった。


 長井で団体客が下車し、静かになった汽車は田んぼに長い影を落として疾走する。
 18:17赤湯着。新幹線の開業で建て替えられたらしい駅舎は何の風情もなく、30分後の山形行きを悪寒に耐えつつ待つ。この日は山形駅直結の宿に泊まり、薬を飲んでさっさと寝た。
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