■岸田内閣は安倍傀儡政権なのか?
“キングメーカー”の好き嫌いで決まる政治、国民にとっては不幸
論座(朝日新聞)2021年10月06日
https://webronza.asahi.com/business/articles/2021100500003.html
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・安倍氏による党内閣支配?
岸田内閣が安倍晋三元総理の支援を受けて誕生した。
党の要職では、安倍氏と並んでトリプルAと言われた麻生前財務大臣が自民党副総裁に、甘利元経済産業大臣が自民党幹事長に就任した。
安倍氏が総裁選挙で強力にバックアップした高市早苗氏は政調会長に、総務会長には安倍氏が属する細田派の福田達夫氏が任命された。
これで、副総裁と党三役全てが安倍氏に近い人となった。
政府では、内閣の要の官房長官には細田派から松野博一氏、重要閣僚である財務大臣に麻生氏の義弟の鈴木俊一氏、経済産業大臣には安倍氏の側近の萩生田光一氏、がそれぞれ任命され、防衛大臣には安倍氏の弟の岸信夫氏が再任された。
萩生田氏については、当初官房長官を予定していたが、安倍色が強すぎるとして松野氏に落ち着いたと報じられている。
また、岸氏は体調不良で公務からしばらく遠ざかっていた。
他方で、総裁選を戦った河野太郎氏は広報本部長に格下げされ、河野氏を支持した石破茂元幹事長のグループの人たちや小泉進次郎前環境大臣は、閣僚には任命されなかった。
2012年安倍氏が総裁になったときでさえ、総裁選を争った石破氏を幹事長に任命している。
総裁選後の「ノーサイドだ」という岸田氏の発言からは、異なる結果となっている。
安倍氏が“小石河連合”は許さないとしたのだろうか、あるいは岸田氏が忖度したのだろうか?
ブラックボックスの中は、部外者にはうかがい知れない。
こうしてみると、報道されている通り、安倍氏の影響力の強い政権である。
安倍氏は、かつての田中角栄氏のようなキングメーカーになったようである。
・安倍支配打破?
ところが、岸田氏は総裁選で勝利した後、「生まれ変わった自民党の姿をしっかりと国民に示す」と宣言している。
また、「政治の根幹である信頼が崩れている」とも発言している。
この発言からすれば、国民は、安倍氏に抗して、財務省職員を自殺に追い込んだ森友学園問題や桜を見る会の真相解明に本腰を入れてやってくれると期待するだろう。
しかし、岸田氏は総裁選中に森友学園問題の再調査について問われ、いったんは「国民が判断する話だ。国民が足りないと言っているので、さらなる説明をしなければならない課題だ。国民が納得するまで説明を続ける」と前向きと受け止められる発言をした。
しかし、安倍氏が高市氏支持を表明した後に、「再調査をするとか、そういうことを申し上げているものではない」と述べ、再調査を否定した。
総裁選後の記者会見でも、「政治の立場からしっかり説明していかなければいけない」と語る一方、「行政において調査が行われ報告がしっかりなされている」などとして、ふたたび再調査を否定した。
党や政府の顔ぶれからしても、この問題に積極的に取り組もうとする姿勢はうかがえない。
崩れた政治の信頼は回復できそうにない。
菅前総理を退陣に追いやり、現職抜きの総裁選に持ち込んだのは、権力者である二階前幹事長を更迭することになる岸田氏の党役員の任期を制限する提案がきっかけだった。
これが菅氏のエラーを生んだが、後付けの講釈をすると、この思い切った提案が岸田総理を実現したことになる。
政治家としての大きな賭けに岸田氏は勝利した。
優柔不断というイメージが強い岸田氏としては、大胆な決断だった。
安倍氏に対して、二階氏に対してと同様の賭けをするかどうか、今の状況では、可能性は低いだろう。
前述の岸田氏の発言を受けて、立憲民主党の枝野委員長は、「自民党は変わらないし、変われない」と発言している。
現状では、枝野氏の言う通りだろう。
既に、岸田氏は、森友学園問題では、苦しい答弁となっている。
来る衆議院総選挙で、枝野氏から、「生まれ変わった自民党の姿をしっかりと国民に示すために、岸田氏は具体的に何をするのか」と問われると、岸田氏は返答に困るのではないだろうか?
岸田氏は総裁選勝利による高揚感で口が滑ったのだろうか?
どうせ、野党もマスコミも追及できないだろうと高をくくったのだろうか?それにしても、言葉を選びながら発言する慎重な岸田氏としては、裏付けのない空疎な発言だったように思われる。
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岸田内閣は安倍傀儡政権なのか?
“キングメーカー”の好き嫌いで決まる政治、国民にとっては不幸
論座(朝日新聞)2021年10月06日
https://webronza.asahi.com/business/articles/2021100500003.html
■岸田首相では「政治倫理の腐敗」は止められない?
2021年10月15日 週プレNEWS 古賀茂明
https://news.nifty.com/article/domestic/government/12176-1289185/
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ここ数年、目を覆うばかりの政治倫理の腐敗を私たちは目にしてきた。
つい最近も不適切な接待を受けたとしてデジタル庁幹部が処分される一方で、同席した平井卓也前デジタル担当相は処分なしで給与1ヵ月分の自主返納のみという信じられないシーンを目撃したばかりだ。
不処分の理由が振るっている。
接待に同席したことで行政がゆがめられた証拠はない。
そのため、大臣規範にも触れるわけでもなく、ましてや検察に起訴されたわけでもない。
だから、処分の対象にならないという。
第2次安倍政権で発覚した安倍晋三元首相の「森友・加計・桜」疑惑、甘利明氏のUR口利き疑惑、小渕優子氏の「観劇会」不正支出疑惑なども、部下だけが処分されたり、刑事訴追される一方で、前述のような理屈で本人は事件化を免れてきた。
そこに共通するのは法律に触れるという明らかな証拠がなく、検察や警察に捕まらなければ問題なしとする政治倫理の腐敗だ。
近年は、それがさらに深まったような印象さえある。
「安倍官邸の門番」と呼ばれた黒川弘務元東京高検検事長の定年延長の騒動や、安倍元首相の友人であるジャーナリストの準強姦罪疑惑で、彼への逮捕状執行を止めた中村 格氏を警察庁長官に昇進させるなど、政治家やそのお友達を立件しない検察官、逮捕しない警察官が政権内で重用されてきた。
政界の倫理が「捕まらなければよい」から「捕まえさせなければよい」へと、さらに劣化したわけだ。
まさに「地に堕ちた政治倫理」である。
本来なら、政治家には「李下(りか)に冠を正さず」という高い倫理性が求められる。
人の道に反する行為をしているのではないかと有権者に疑われるだけで責任を問われる立場にあるのだ。
しかし、今の日本の政治は明らかにその倫理が劣化し、さらなる堕落が進む状況にある。
看過できないのは岸田文雄首相が率いる新政権でもその流れが続きそうなことである。
その象徴が甘利氏の党幹事長起用だ。
経済再生相当時、大臣室などで口利きの見返りとして計100万円を直接受け取ったという証言が報じられたにもかかわらず、甘利氏はなんの説明もしていない。
本来なら、議員辞職モノだ。
その甘利氏を岸田首相は自民ナンバー2の幹事長に起用した。
甘利氏の登用には安倍、麻生両元首相の意向があったとされる。
ふたりのキングメーカーへの忖度(そんたく)は明らかだろう。
事実、森友問題の再調査はしないと、岸田首相は明言している。
新政権でも政治倫理の腐敗は継続すると考えるべきだろう。
だからこそ、野党に望みたいことがある。
秋の臨時国会で国政調査権に基づく強力な権限を持つ森友問題調査委員会の創設を岸田政権に提案してほしい。
また、岸田首相は自らの「聞く力」をアピールしている。
ならば、首相に公文書改竄(かいざん)を苦に自殺した赤城俊夫さんのご遺族・雅子さんと面会し、その話をじっくり聞くべきという要求もしてほしい。
その声に岸田政権がわずかでも応じる気配を見せれば、これ以上の政治倫理の腐敗に歯止めがかかる希望が生まれる。
応じなければ、野党は岸田首相の政治倫理の劣化を指摘し、国会論戦で攻勢に出ればよい。
民主主義を守るために、政治倫理を正すことが喫緊の課題だ。
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岸田首相では「政治倫理の腐敗」は止められない?
2021年10月15日 週プレNEWS 古賀茂明
https://news.nifty.com/article/domestic/government/12176-1289185/
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