Kaizen(啓源会計事務所)

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香港の雇用主の税務上の責任

2021-01-22 | 税制

労働者の賃金記録を保管する

 

(1)最初の労働者を雇うことから始めて、雇用主の税務上の責任を履行しなければなりません。

 

(2)労働者を雇用する際には、以下の労働者の記録を保管する必要があります。

 

(a)個人情報(氏名、住所、香港ID番号又はパスポート番号及び発行地、婚姻状況)

(b)雇用形態(正社員又は非正規社員)

(c)役職(例えば、営業マネージャー、営業マン、ブルーカラー、企業内弁護士、会計士、取締役)

(d)現金又はその他の方法にて支払われた賃金額(香港ドルもしくは外貨、又は香港以外にて支払われたか否かに関係なく)

(e)現金以外及びその他の福利厚生(例えば、寮、休暇旅行の福利、賞与の株、新株引受権)

(f)労働者及び雇用主が支払った強制性積立金計画(MRF)(又は類似商品)への拠出金

(g)雇用契約及びその後の変更

(h)雇用期間

 

(3)以下の情報を香港内国歳入局に提供する必要があります。

 

(a)労働者の個人情報の更新。例えば、新住所及び連絡先住所又は婚姻状況の変更

(b)雇用形態の変更。例えば、労働者が正社員から非正規社員に変更すること

(c)労働者の香港ID番号

 

(4)業務の経営者は労働者の雇用及び賃金記録を7年以上保有しなければなりません。

 

労働者に支払った賃金を香港内国歳入局に申告する

 

(1)一般事項

(a)労働者を雇用していない(課税所得をゼロとして申告する必要がある)、又は事業を開始していない、又は休業もしくは廃業している場合でも1ヶ月以内に雇用主給与支払届出書(BIR56Aフォーム)に記入し、香港内国歳入局に返送する必要があります。

(b)申告の義務が付けられる労働者を雇用している場合、当該課税年度末から4月中旬まで当該課税年度の雇用主給与支払届出書を受け取っていない場合は、香港内国歳入局に通知し、雇用主給与支払届出書を取得する必要があります。

(c)労働者が納税申告書に正しく記入できるために、記入済みのIR56B/IR56E/IR56F/IR56Gフォームの写しを当該労働者に提供してください。

 

(2)労働者の香港ID番号

 

雇用者は雇用者給与支払届出書に記入する際に、労働者(例えば、香港以外の場所から雇用された又は海外の会社から派遣された労働者)が香港IDカードを持っていない場合、その労働者のパスポート番号及び発行地が記入できます。但し、雇用者はその件にフォローする必要があることに注意してください。その労働者が香港ID番号を取得した後、雇用者は早急に内国歳入局に書面で通知して、労働者の個人情報を更新する必要があります。

 

(3)継続的に雇用されている労働者

 

当該課税年度の雇用主給与支払届出書(BIR56A及びIR56B)に、以下の労働者の情報を記入する必要があります。

(a)年収が当該課税年度の基礎控除額を超えた未婚者

(b)既婚者(年収に関係なく)

(c)非正規社員(年収に関係なく)

(d)取締役(年収に関係なく)

 

(4)新入社員

 

薪俸税(給与所得税)を納付する必要がある労働者を雇用している場合、雇用開始から3ヶ月以内にIR56Eフォームに記入して香港内国歳入局に申告する(又は電子納税申告システムでIR56Eフォームに記入する)必要があります。

 

(5)労働者の雇用終了(又は死亡)

 

雇用者は労働者の雇用が終了する1ヶ月前に、IR56Fフォームに記入して香港内国歳入局に申告する(又は電子納税申告システムでIR56Fフォームに記入する)必要があります。

 

(6 )労働者が長期間又は永久に離港する

 

(a)労働者に離港予定日を確認する必要があります。

(b)離港予定日の1ヶ月前に、2つのIR56Gフォームに記入して香港内国歳入局に申告する(又は電子納税申告システムでIR56Gフォームに記入する)必要があります。

(c)IR56Gフォームの記入日から、労働者に現金又は現金等価物で賃金(給与、手数料、ボーナス及び労働者への住居費や他の費用が含まれる)を支払うことはできません。労働者が税務手続を完了し、内国歳入局が発行した「同意釈款書(Letter of Release)」を提示した後、賃金を支払うことができます。


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