会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

ISSB Update(2022年12月)(サステナビリティ基準委員会)

ISSB Update(2022年12月)(PDFファイル)(ISSB会議のページより)

先日の日経で、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)の12月の理事会における気候変動開示基準に関する議論の状況が取り上げられていましたが、サステナビリティ基準委員会(財務会計基準機構)のサイトで、その会議の結論などをまとめたISSB Update(2022年12月)日本語版が公開されています。

日経がいっていた、スコープ3の1年間開示猶予については...

「スコープ 3 の温室効果ガス排出(アジェンダ・ペーパー4B)

ISSB は、以下のことを暫定的に決定した。

a. スコープ 3 の GHG 排出を開示する企業に対する救済措置を導入する。具体的には以下のとおりである。

i. S2 基準の発効日から最低 1 年間、スコープ 3 の GHG 排出を開示するという要求事項の一時的な免除
14 名の ISSB メンバーのうち 13 名が、この決定に同意した。

ii. バリュー・チェーン上の各企業のうち、報告サイクルが企業の報告期間と一致していない企業からの情報を用いてスコープ 3 の GHG 排出を測定することを容認する救済措置。ただし、以下を条件とする。
1. スコープ 3 の GHG 排出を見積って開示するために、過大なコストや労力をかけずに利用可能な、最も直近の(the most recent)データを使用する。
2. 報告期間の長さが毎期同じである。並びに、
3. バリュー・チェーン上の各企業の報告日から企業の一般目的財務報告の日付までの間に発生した重大な(significant)事象及び環境(circumstances)の変化による影響(effects)を開示する。

14 名の ISSB メンバー全員が、この決定に同意した。

b. 2022 年 12 月の ISSB 会議のアジェンダ・ペーパー4B「気候関連開示-スコープ 3 の温室効果ガス排出」の第 48項及び第 50 項に記載されているとおり、スコープ 3 の GHG 排出を測定するためのフレームワークを導入する。14 名の ISSB メンバー全員が、この決定に同意した。

c. スコープ 3 の GHG 排出を測定するためのフレームワークとともに、企業がスコープ 3 の GHG 排出をどのように測定したのかを一般目的財務報告の利用者が理解できるようにする情報を開示するという要求事項を導入する。これらの要求
事項は、企業が以下の事項を開示することを定める。
i. スコープ 3 の GHG 排出の開示のどの程度(例えば、スコープ 3 の GHG 排出の総量の何パーセント)が、企業のバリュー・チェーン内の特定の活動からのインプット(「一次データ」)を用いて見積られているか。14 名のISSB メンバー全員が、この決定に同意した。
ii. スコープ 3 の GHG 排出の開示のどの程度(例えば、スコープ 3 の GHG 排出の総量の何パーセント)が、検証済みの(verified)インプットを用いて見積られているか。14 名の ISSB メンバー全員が、この決定に同意した。
iii. スコープ 3 の GHG 排出を見積るのが実務上不可能である(impracticable)と判断した場合、企業がスコープ 3 の GHG 排出をどのように管理している(どのように「考えている」)か。14 名の ISSB メンバーのうち 12名が、この決定に同意した。

d. バリュー・チェーンに関する開示を行う企業に対する以下の救済措置を導入する。
i. バリュー・チェーンにおけるどのサステナビリティ関連のリスク及び機会が一般目的財務報告の利用者に関連性があるかを企業が評価するうえで役立つ適用ガイダンス。スコープ 3 の GHG 排出を例として使用する。
ii. 重大な(significant)事象が発生した場合又は環境(circumstances)の重大な(significant)変化が発生した場合にのみサステナビリティ関連のリスク及び機会の範囲を再評価するという要求事項。
14 名の ISSB メンバー全員が、これらの決定に同意した。

e. GHG プロトコルのコーポレート基準に従って測定を行っているかどうかにかかわらず、すべての企業が、(GHG プロトコルのコーポレート・バリュー・チェーン(スコープ 3)基準に記述されている)15 個のスコープ 3 の GHG 排出カテゴリーのうち、どれが企業のスコープ 3 の GHG 排出の測定に含まれているかについての情報を含めることが要求されることを確認する。14 名の ISSB メンバー全員が、この決定に同意した。」

そのほか、ISSB の作業計画を策定するために意見募集を行うようですが、それに含める潜在的なプロジェクトについて議論しています。

「ISSB は、情報要請において、以下の事項に関するフィードバックを求めることを暫定的に決定した。
a. 以下の項目に関する潜在的なリサーチ・プロジェクト
i. 生物多様性、生態系及び生態系サービス
ii. 人的資本(多様性、公平性及び包摂性(diversity, equity and inclusion; DEI)にまずは焦点を当てる。)
iii. 人権(バリュー・チェーンにおける労働者の権利及びコミュニティの権利にまずは焦点を当てる。)、並びに
iv. 国際会計基準審議会(IASB)との、報告におけるつながりについての潜在的な共同プロジェクト(IASB の経営者による説明(Management Commentary)プロジェクト及び統合報告フレームワークに基づく。)」

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