会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

西武信金、自画自賛の驚異的成長の裏で暴力団融資(Business Journal より)

第2のスルガ銀行…西武信金、自画自賛の驚異的成長の裏で暴力団融資、不動産向け融資偏重

反社勢力向け融資疑惑が問題となっている西武信金を取り上げた記事。

金融庁の立ち入り検査で発覚したようです。

「西武信金は投資用アパート・マンション向け融資に積極的で、不動産購入資金の借り入れ希望者の資産の多く見せるため、不動産業者が預金残高を改竄し、同金庫から多額のローンを引き出した事例が見つかった。金融庁は昨年11月、こうした不正を見過ごした同金庫の融資審査や管理体制に不備がなかったかを調べるため、立ち入り検査を行った。

検査のなかで、指定暴力団の関連企業に融資していたことがわかった。西武信金はこれらの企業を「反社会的勢力に該当する」としてデータベースで管理しており、不適切な融資と認識していたという。一連の融資と接待は、常勤の理事が主導していた。」

近年、急成長を続けていたそうです。

「西武信金は本店のある東京・中野区から西の多摩方面に展開する郊外信金だった。理事長に就任した落合氏は方向を転換し、資金需要が旺盛な都心部に打って出た。その戦略が当たり、1年間の貸出金増加額で連続してトップクラスの急成長を続けてきた。

18年3月期の実績は、ホームページ上に「一般企業の売上高にあたる貸出金は前期比で2148億円の増加(業界NO.1)、仕入高に当たる預金は前期比1861億円の増加(業界NO.2)と過去最高の伸び」と誇らしげに記している。

18年9月期中間期には、さらに伸長した。貸出金は1兆7252億円と、理事長就任からの8年間で倍増させた。預金は2兆643億円と初の2兆円の大台に乗せた。信金界の平均預貸率(預金に占める貸出の割合)は50%程度にととどまるなか、西武信金のそれは83.57%にも上る。驚異的な数字を示していた。

貸出を牽引したのは、投資用アパート・マンション向けの融資だ。18年9月中間期には、全貸出のうち不動産賃貸業向けが46.25%を占めた。不動産向けの10.94%と合わせると57.19%となる。不動産向け融資割合は信金平均が22.8%だから、西武信金は突出している。」

スルガ銀行と同じように、前金融庁長官が絶賛していたそうです。

「驚異的に業績を伸ばす西武信金を“信金の雄”と絶賛したのが、森信親金融庁長官(当時)だった。

16年11月8日、東京・千代田区大手町の大手町フィナンシャルシティで、第5回産業金融フォーラムが開かれた。東京の中の“地方”創生にスポットを当てた。森長官は基調報告で西武信金を褒め称え、続けて森長官と西武信金の落合寛司理事長の対談が企画された。

森長官の後ろ盾を得た落合氏は、政府委員として足場を築いていく。金融庁金融審議会専門委員、中小企業庁中小企業政策審議会委員、経済財政諮問会議の政策コメンテーター委員会委員になった。母校の学校法人亜細亜学園の理事長にも就いた。」

前長官の講演録を見た限りでは、特に個別の金融機関の名前を挙げて絶賛しているということはないようですが(対談やパネルディスカッションにも参加していない模様)、このイベント自体が西武信金(+いくつかの信用組合)の宣伝目的のように感じられます。

2016/11/8開催・第5回産業金融フォーラム「現場での価値創造に動く金融 ~大都会における地方を超えた地方創生~」レポート(電子ブック)(HCアセットマネジメント)



当サイトの関連記事(西武信金関連記事)
その2(同上)
その3(同上)
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近の「企業会計」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事