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監査・保証基準委員会有識者懇談会(2024年8月2日)の議事要旨等の公表について( IAASB の活動状況など)(日本公認会計士協会)

監査・保証基準委員会有識者懇談会(2024年8月2日)の議事要旨等の公表について

2024年8月2日に開催された日本公認会計士協会の監査・保証基準委員会有識者懇談会の議事要旨と会議資料が公開されています。

主に、IAASB の活動状況(サステナ保証含む)の説明と意見聴取があったようです。

会議資料より、IAASBの主なスケジュール。今後もいろいろ出てくるようです。

「テクノロジーポジション」というのは、「テクノロジーによる影響をIAASBの基準でどのように対処していくのかに関するIAASBの全体方針(テクノロジー・ポジション)を設定する」というものです。

委員の主な意見より。協会から、テクノロジーに関する研究報告が公表されるそうです。

「○ 作成者としてテクノロジーを利用した監査への関心は高い。今後協会のテクノロジー委員会で研究報告を検討されるとの話があったが、公表の予定はあるか。作成者側でのデータの将来的な在り方の検討も進められるため、可能であればタイムリーな公表をお願いしたい。
(ご意見への回答)
 テクノロジー委員会の研究報告は公表予定である。」

「○ 監査手続にテクノロジーを利用する議論と、テクノロジーの影響を受けた監査証拠の議論は別であると考える。例えば、確認を電子的手続で行う場合、その結果得られる証拠は電子的なデータであるが、プリントアウトすれば紙媒体である。技術としてのテクノロジーと、テクノロジーを利用した結果得られた証拠は別の次元で議論すべきであり、この点は峻別した形で研究を行っていただきたい。
(ご意見への回答)
デジタル化された監査証拠に対する研究と、実際に監査で使用するテクノロジーは分けて考えている。ご指摘の点を意識して検討を進めたい。 」

サステナビリティ保証 について。

「○ サステナビリティ情報とこれまでの財務情報は全く違うものであり、最初から保証基準を監査基準と同レベルにすることには無理があると感じている。ISSA 5000 の検討は最終段階を迎えているが、段階的な扱いとすることも考えられる。また、国際保証業務基準(ISAE)3410「温室効果ガス報告に対する保証業務」の要素を ISSA 5000 に入れるという話もあったが、先の理由からかなり懸念が出ると考えている。実務上もこれからという状況で、最初から過剰な保証水準の期待を持つと混乱が生じると考える。協会としても懸念点の発信と、今後の国内の取扱いを勘案した検討を進めていただきたい。
(ご意見への回答)
実務が今後より進展していく中で、ご意見にあった保証水準に関しても我々から説明していく必要があると考えている。留意しながら協会としての活動を進めていきたい。 」

ISAE 3410 の位置付けについての意見について...

「(ご意見への回答) 

ISSA 5000 公開草案では、GHG ステートメントに別個の保証業務の結論を表明する場合には ISAE 3410 が適用となり、それ以外の全てのサステナビリティ保証業務に ISSA5000 が適用になるとされていた。これに対して、非常にわかりにくいとのコメントが多く寄せられたため、最終化に当たっては全てのサステナビリティ保証業務に ISSA5000 を適用することとなった。...ISAE 3410 の適用指針の中で ISSA 5000に含められないものがあるが、併せて公表される初度適用ガイダンスに含めることになっており、これが資料 No.905 の 10 ページ目に記載している付録である。

ISAE 3410 の今後の位置付けは今後のボード会議で審議することが想定されるが、ISSA5000 との適用日の関係を整理し、実務上の混乱を避ける形で対応されることが想定される。」

その他の記載内容に対する監査人の手続きなどについて。

「○ 国際監査基準(ISA)720「監査した財務諸表及び監査報告書が含まれる又はそれに付随する開示書類に含まれるその他の記載内容に対する監査人の責任」についての議論が出ていないが、ISA 720 と ISSA 5000 及び ISAE 3410 それぞれとの関係は整理いただきたい。...
(ご意見への回答)
監査人は ISA 720 に従って通読及び検討を行う必要があり、サステナビリティ保証でも ISSA 5000 の同様の規定に基づいて財務諸表の部分を通読及び検討することとなっている。監査人とサステナビリティ保証人とで、それぞれどの部分がその他の記載内容に当たるのか理解しにくいところもあるため、誤解のないような説明を心がけたい。

基準上ではなく、ほかの形でご説明を行っていく方が適切であるかもしれない。各国の制度設計によっても考え方の整理が変わる部分であると考える。 」

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