金融庁の公認会計士・監査審査会は、監査法人セントラルを検査した結果、同監査法人の運営が著しく不当なものと認められたとして、2015年1月30日付で、同監査法人に対する行政処分その他の措置を講ずるよう勧告しました。
個別の監査業務について、以下のような指摘がなされています(一部抜粋)。
「社員及び職員は、減損の兆候がある固定資産について被監査会社の主張の合理性を検討せず、また、売掛金の残高確認において重要な差異が生じているにもかかわらず調査を実施しないなど、複数の個別監査業務において監査の品質の水準を確保するために必要な手続を行うことなく監査を完了しており、監査の基準に準拠していない監査手続が広範囲に多数認められる。」
このほか、運営全般や品質管理に関しては・・・
「各社員に対して組織的監査の重要性を認識させておらず、他の社員の行う監査業務に関与しない風土が醸成されている。」
「総括代表社員をこれまでに就任したことのない者の中から持ち回りにより選任するなど、形式的に選任していることから、総括代表社員がリーダーシップを発揮できていない。」
(大手監査法人でも、なぜこの人がトップなのだろうということはありますが)
「総括代表社員は、品質管理のシステムに関する最終責任者であるにもかかわらず、監査法人として一体的に監査の品質を向上させ、組織的監査を実施する態勢を構築しておらず、また、品質管理担当責任者も、品質管理のシステムを整備し、運用しなければならないにもかかわらず、その重要性を認識していない。」
「品質管理のシステムが機能しておらず、品質管理態勢は極めて不十分である。」
「監査業務に係る審査については、審査担当者は、監査の品質に関し、監査の基準で要求される水準を理解しておらず、また、重要な項目に係る監査チームの判断に対して、監査チームから提出された定型の審査資料に基づく検討を実施するのみであるほか、一部の審査担当者においては、監査責任者との討議を行っていないなど、実効性のある審査を実施していない。 」
日本公認会計士協会の品質管理レビューで指摘された事項への対応も悪かったようです。そのあたりが、金融庁につっこまれて、こてんぱんに指摘されるきっかけだったのかもしれません。
監査法人セントラルに行政処分勧告 会計士・監査審査会 (日経)
「審査会によると、日本公認会計士協会から繰り返し改善を求められていたものの、対応してこなかった。」
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