goo blog サービス終了のお知らせ 

会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

THE WHY HOW DO COMPANY(株)における有価証券報告書等の虚偽記載審判事件の第1回審判手続期日開催について(金融庁)~ソフトウェアの資産計上が論点か~

THE WHY HOW DO COMPANY(株)における有価証券報告書等の虚偽記載審判事件の第1回審判手続期日開催について

金融庁は、THE WHY HOW DO COMPANY(株)における有価証券報告書等の虚偽記載審判事件の第1回審判手続期日開催を発表しました。

「 審判手続期日

(1) 日時
令和6年度(判)第11号審判事件の第1回審判手続期日
令和7年5月29日(木曜)15時00分

(2) 場所

金融庁大審判廷
(東京都千代田区霞が関3-2-1 中央合同庁舎第7号館15階)」

席数に限りはあるものの、誰でも傍聴できるそうです。

この事案では、他とは違って、昨年7月に訂正報告書の提出命令まで出ています(→当サイトの関連記事)。ソフトウェア仮勘定の過大計上を指摘していました。

提出命令に対し、翌月、会社は訂正報告書を出していますが、提出命令取消の訴訟の提起を行う方針だと発表しています(→当サイトの関連記事)。

訂正報告書(2019年8月期有報の訂正)は、2回提出されているようです。

1回目は、2024年8月提出です。訂正しろと命じられた箇所だけを訂正したもので、複式簿記的に影響があるはずの他の項目は訂正されていませんでした。

(1回目の訂正報告書より)

2回目は、2024年11月に提出されています。このときは、関連する項目も訂正されており、監査報告書も付いています。

訂正理由は...

「1【有価証券報告書の訂正報告書の提出理由】

2024年6月25日付で証券取引等監視委員会から内閣総理大臣及び金融庁長官に対して当社提出の第15期(自 2018年9月1日 至 2019年8月31日)有価証券報告書に係る訂正報告書の提出命令を発出するよう勧告がなされ、これを受けて、関東財務局長から2024年7月17日「ソフトウエア仮勘定の過大計上に伴う売上原価の過小計上」を主な事由とする有価証券報告書及び有価証券届出書の訂正報告書等を提出するよう命令(以下「本件提出命令」といいます。)が発出されました。

これに対し、当社は、当社が我が国において一般に公正妥当と認められている企業会計基準委員会及び公認会計士協会が公表した会計基準に則って計上を行っており、本件提出命令には承服できないものとして、東京地方裁判所に訂正報告書の提出命令取消の訴訟の提起を行う方針を取締役会で議決したことは既にお知らせしたとおりです。他方で、本件提出命令に従わないときには金融商品取引法に基づく罰則が規定されていることを勘案し、当社は、本件提出命令に応答して当該有価証券報告書の訂正報告書の提出を行いつつ、並行して行われる課徴金納付命令に関する審判手続き、本件提出命令の取消訴訟において、当該有価証券報告書に関する公正な判断を求めることを公表し、2024年8月15日に訂正報告書等を提出しました。その後、関東財務局より監査証明を付した内容での訂正報告書の追加提出の要望がありましたので、今日まで裁判への影響など慎重に検討をして参りましたが、本日開催の取締役会において、監査証明を付した有価証券報告書の訂正報告書を追加提出することを決議いたしました。

以上の経過によって、第15期(自 2018年9月1日 至 2019年8月31日)有価証券報告書及び2024年8月15日に提出いたしました有価証券報告書の訂正報告書につき、金融商品取引法第24条の2第1項の規定に基づき、2024年11月13日に有価証券報告書の訂正報告書を追加提出するものであります。」

監査証明をつけるとなると、複式簿記を無視して、命令された箇所だけ訂正というわけにはいかないでしょう。その場合、虚偽記載を認めて、命じられていないのに、自主的に訂正したとということに解釈されて、裁判で不利になるかもしれません。そう考えると、財務局の「要望」ぐらいで、訂正報告書を出すのは、リスクがありそうですが、結局、監査証明付の訂正報告書を出してしまったということになります。

監査報告書(監査人はフロンティア監査法人)をみると、限定付適正意見でした。

「限定付適正意見の根拠

追加情報に記載されているとおり、2024年6月25日に証券取引等監視委員会は会社が提出した第15期(自2018年9月1日 至2019年8月31日)有価証券報告書の重要な事項に虚偽の記載があるとして、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、当該有価証券報告書に係る訂正報告書の提出命令を発出するよう勧告した。2024年7月17日に関東財務局より2024年8月16日までに有価証券報告書の訂正報告書を提出するよう命ぜられた。そのため会社は提出命令に応答し、2024年8月15日付及び2024年11月13日付で第15期有価証券報告書の訂正報告書を提出している。

しかし、有価証券報告書の訂正命令について会社は承服することができないため、当該提出命令取消しの訴訟を提起する方針である。当該訴訟において会社の主張が認められた場合には連結財務諸表を訂正する予定である。

当監査法人は、当該提出命令取消しの訴訟の結果が明らかになるまでは、「ソフトウエア仮勘定の過大計上に伴う売上原価の過小計上」を主な事由とする虚偽の記載があるかどうかについて十分かつ適切な監査証拠を入手することができない

したがって、当監査法人は、上記に関連する項目に関して、修正が必要かどうかについて判断することができなかった。」

監視委の発表資料などを読んでも、会計基準の規定を否定形にしただけの記述であり、どちらの言い分が正しいのかは、判断がつきませんでした。しかし、この審判手続で、詳細が明らかになることが期待されます。ソフトウェアの会計の見直しにまでつながるかどうかはわかりませんが...

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。
  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近の「金融庁」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事