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金融審議会「市場制度ワーキング・グループ」中間整理の公表について(金融庁)

金融審議会「市場制度ワーキング・グループ」中間整理の公表について

金融庁は、「金融審議会「市場制度ワーキング・グループ」中間整理」を、2022年6月22日に公表しました。

「当ワーキング・グループにおける 2021 年 10 月以降の審議の内容を中間的に整理したもの」です。

30ページほどの報告書です。全4ページの概要がついています。

Ⅰ.成長・事業再生資金の円滑な供給
Ⅱ.経済成長の成果の家計への還元促進
Ⅲ.市場インフラの機能向上
Ⅳ.社債市場の活性化

という構成になっています。

概要より。「成長・事業再生資金の円滑な供給」の部分です。



以下、「成長・事業再生資金の円滑な供給」より。

アセットオーナー等による資金供給の拡大

「アセットオーナー等による国内 VC 等への投資の拡大に向け、専門人材の育成や運用ノウハウに関するベストプラクティスの共有などが有効と考えられる。」

「国内 VC では、国内外の機関投資家からの資金調達拡大に向け、国際標準である公正価値で投資先のバリュエーションを行うことが推進されており、こうした取組の進展が期待される。」

投資信託への非上場株式の組み入れ

「我が国では現行法令上、投資信託への非上場株式の組み入れは禁止されていないが、投資信託の健全な運用を確保する観点から必要な枠組みを整備する必要がある。」

非上場株式のセカンダリー取引の円滑化(私設取引システム(PTS)による「特定投資家向け有価証券」の取扱い)

「非上場株式のセカンダリー取引の円滑化に向けて、PTS が協会(日本証券業協会)と連携し、一般投資家が取引に参加することのないよう参加証券会社を管理する枠組みなどを構築した上で、PTS における「特定投資家向け有価証券」の取扱いを可能とするための具体的な制度改正について検討を進めるべきである。」

地域企業の事業再生・事業承継の円滑化に向けた非上場株式の取引

「地域企業の事業再生・事業承継の円滑化の観点から、投資家保護に配意しつつ、勧誘可能な非上場株式の取引の範囲を拡大するよう自主規制の見直しを行うべきである。」

デットファイナンスの拡充(事業全体に対する担保制度)

「金融機関の実務慣行等を十分に踏まえつつ、「事業成長担保権(仮称)」について検討を行うべきである。」

銀証ファイアーウォール規制

「中堅・中小企業や個人顧客に関する規制の取扱いについては、仮に見直した場合における銀行の優越的地位の濫用等に係る懸念が指摘された一方、コロナ後の経済社会を見据え、重要な課題となることが見込まれる事業承継の円滑化の観点から取扱いを検討すべきとの指摘もあり、引き続き検討していく課題であると考えられるとされた。」

新規公開(IPO)プロセスの見直し

新規公開(IPO)の公開価格設定プロセス等については、日本証券業協会のワーキング・グループにおいて、公正な価格発見機能や新規上場企業及び投資家の納得感の向上に向けた改善策が取りまとめられた。今後、新規上場企業への説明や情報提供の充実、より実需を反映した柔軟な公開価格設定、上場日程の短縮等の改善策が、順次実施される予定である。この公開価格設定プロセス等の見直しを、必要な制度的対応を行いつつ、着実に進展させる必要がある。」

企業特性に合わせた上場審査のあり方

「取引所においては、先端的な領域で新技術を活用して事業を行う企業等の上場審査について、第三者の企業価値評価の活用や投資家への企業特性に応じたリスク情報の開示を含め、企業特性に合わせた上場審査を実現し、先端的な領域で事業を行うため、ビジネスモデルの評価についての見解が分かれうるような、より多様な企業が円滑に上場できるようにすべきである。」

ダイレクトリスティング

「スタートアップによる上場手法の多様化に向け、投資家に対する適切な情報開示の確保など、投資家保護に配意しつつ、グロース市場を含めて、ダイレクトリスティングを利用しやすい環境を取引所において整備する必要がある。」

合併・買収(M&A)

「日本証券業協会において、M&Aを目的とする公募増資の円滑化に向けた見直しの検討が行われている。投資家へ適切な情報が提供されるとともに、公表内容への投資家の信頼が裏切られることのないよう配意しつつ、上場企業の実務やニーズを踏まえ、原則1年以内とされている資金の充当期限の緩和等を行うべきである。」

SPAC(特別買収目的会社)

SPAC 制度について、こうした海外の動向などについて継続して情報収集を行うとともに、我が国の市場の特性や投資家保護上の論点を踏まえながら、我が国における導入の意義や必要性を引き続き検証することが適当と考えられる。また、導入する場合の制度整備については、グローバル・スタンダードを踏まえ、参加可能な投資家を限定する等、投資家保護に十分に配慮しつつ検討を行う必要がある。」

(非上場会社に資金が回るようにするのはよいことなのでしょう。しかし、粉飾決算や関連当事者取引やり放題だと、資金を提供する側にとってはリスクが高そうです。事業成長担保権も、決算が粉飾だったら、正しい担保評価はできないでしょう。)

関連報道。

地域の旅館やスーパーも地元での知名度基に資金借りやすく…「無形資産も担保」新法制定へ(読売)

「現行の民法では、土地や建物、設備といった不動産を担保として位置付けているが、特許や顧客基盤、ブランドなどの無形資産は明記されていない。新法は民法の特別法とする見通しで、無形資産と有形資産を組み合わせた事業資産全体を「事業成長担保」と位置付ける。銀行や信用組合など金融機関が事業成長担保をもとに企業に融資する際のルールを明確化する。」

ソーシャルレンディングの規制強化へ 金融庁、23年にも実現目指す(朝日)
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