会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

公認会計士は「泥船」職業?「監査」離れ鮮明(Business Journal より)

公認会計士は「泥船」職業?「監査」離れ鮮明…ひたすらマニュアル仕事、トチればクビ

公認会計士の仕事や将来性について5人の公認会計士が語った座談会形式の記事(メンバーはひとつ下の記事と同じ?)。

一人が7年周期説を言っています。

「監査業界は5年から7年周期で波打つんですよ。たとえば、2000年頃は仕事がいっぱいあって、どこの監査法人も「支度金を用意するからうちに来てよ」と積極的に会計士を採用するほど人手不足の時代。そこから03~04年になってくると人が余ってきた。今はアベノミクスでIPO(新規公開株)の件数なんかもすごく増えて会計士が足りないといわれているので、「どんな人でもいいから人がほしい」という感じですね。

 監査に関する不祥事というのは、イケイケの時に起こるんですよ。そして不祥事が起きると、グーッと監査のクオリティを上げて、顧客企業を選別するので、会計士が余ってきてリストラするのです。すると、また景気が良くなってきて「人が足りない」ということになって、また人を採用し出す。人が増えるとまたクオリティが下がって不祥事が起きる。これが7年周期くらいでずっと続いています。」

ということは、数年先には人手不足になることが見えていたのに、大手監査法人は大リストラをやったことになりますが...

監査法人から人が辞めていることについて。

「――人手不足は、受験者や合格者の減少だけが原因なのでしょうか?

A 優秀な人からどんどん辞めているということは聞きます。東芝を監査していた新日本監査法人が行政処分を受けて、公認会計士協会からも処分された。かつて同じく粉飾決算が発覚したカネボウを担当していた監査法人は消滅してしまいました。「泥船に乗っているわけにはいかない」ということで、優秀な人は独立したりコンサルティングのほうに行っている傾向があります。」

「最近の傾向としては、ますます形式的な監査になってきている気がします。それは相次ぐ不正によって、監視の基準を強化しようという意図なのでしょうけど、要するにマニュアル型になってるんですね。マニュアルが整備されてきて、現場の会計士はその通りにやっていればいい、逆にマニュアルに書いてないことはやらないというかたちになっていると感じます。本当のプロフェッショナリズムを発揮しづらくなって、優秀な人はおもしろくないだろうし、残った人はますます形式的なマニュアル型会計士になってしまいます。」

マニュアル型監査はよく批判されていますが、マニュアルをよく読めば、プロフェッショナル・ジャッジメントでやれというような箇所も多くて、裁量の余地はかなりあるように思われます。そもそも、監査先会社の事業や会計システムなどは、会社によってバラバラなわけですから、膨大な量とはいえマニュアルで全部決められるものではないでしょう。(パートナーが監査基準をよく知らないので、マニュアルどおりにやれという指示になってしまうのかも)

「監査法人にとどまる会計士が減っているという気がします。知識や経験がある中堅の会計士が抜けてしまって、能力のある会計士が足りないという話をよく聞きます。なぜかというと、あとで訴えられないように書面をそろえたり、後ろ向きな作業がけっこう多いんですね。その割には不正があった時のリスクは高いので、それで嫌になっちゃう人は多いと思います。そもそも会計士には、ほかにやりたいものを持っている人も多いと思うんで、有能な人ほどそっちに進んじゃう気がします。自分で事業を興したり、コンサルタントになったり、一般企業の経理になったり、いくらでも道はありますから。」

「企業の監査で不正を見逃してしまうなどの失敗をした時に、監査法人の責任ある立場の人間がクビになったり逮捕されたりするでしょう。昔は偉くなって会社のパートナーになったら、先生って言われて多少はうまいメシも食えた。だから監査法人に残って偉くなろうと思ったんです。だけど今、偉くなったら捕まる可能性が高まるので、さっさと辞めちゃって自分で独立したほうがいいということで、あんまり監査法人に対して帰属意識がなくなっていますね。」

日本の大手監査法人は、提携先であるビッグ4と同じように、大量採用・大量退職型の組織になっていくのでは。
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