会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

公認会計士が暴露、知られざる監査の実態(Business Journal より)

監査で東芝の不正は摘発できない…公認会計士が暴露、知られざる監査の実態

会計監査に関して5人の公認会計士が語った座談会形式の記事。

特に目新しい情報はありません。会計士の考え方、意見としては、普通かなあと思います(賛成できる意見も多いのですが、監査公営論はちょっと...)。

最後の方で金融庁が検討している監査事務所(監査法人)のローテーション制度についてふれています。メリット、デメリットの両方を論じていますが、反対論が多いようです。

「ローテーション制度の狙いは、癒着の防止だと思います。それは確かに一面としてはあると思いますが、今後AI(人工知能)が監査に導入されるようになれば、「精査」といわれる全件調査が可能になってくると思います。しかし、現状の監査だとそれは時間的にも予算的にも無理なので、「リスクアプローチ」と言われる、いわゆるサンプリング試査になっています。

 そうすると、会計士の嗅覚が重要になってくる。どこが危なそうで、どこが危なくないのか嗅ぎ分ける能力ですね。危ないと思ったところは徹底的にやりますが、そうじゃないところはいい意味で手を抜く。ここが腕の見せ所です。こうした実情を踏まえると、ローテーション制度は明らかに後退です。過去の例でも、ある会社の監査法人が交代して、前の監査法人はリスクを感じていたのに、新しい監査法人がそれに気がつかず不正を見落としたというケースもあります。」

「日本では監査法人内では5年くらいのスパンでひとつの会社を担当する会計士は替えています。「それで十分じゃないか」という声が、会計士界では強い気がします。監査先企業との馴れ合いをなくそうとしたら、会計士を公務員化するしかないと思います。証券取引所からお金をもらって、本当に独立した立場で監査するというのが理想ではないでしょうか。」

「1つの会社を監査するにしても、初年度と2年度ではクオリティが全然違います。初年度は何もわからない状態ですから、情報収集しながら監査する。年を重ねるごとにクオリティが高くなってくるのですが、それが一旦スタートに戻ってしまうということが、ローテーションのデメリットの1つとしてあります。金融庁が今やろうとしていることは、現場の経験者が考えた方法ではなくて、現場を一切経験していない人々が外国のやっていることを全部持ってこようとしているということだと思います。」

コメント一覧

kaikeinews
たぶん、法令で強制せずに、有報に継続年数を書かせる、監査役が会計監査人をチェックする項目に継続年数を加えさせるなどして、監査人を交代する方向に誘導していくのでしょう。法令で強制するのと比べて、その方が、金融庁としては責任を負う必要がなく、また、手間もかからず、好都合です。
会計士
ローテーションは今の日本だと品質下げるだけでしょうが、人材に余力がある状況だとどうでしょうか。
悪臭も慣れると違和感感じなくなるわけで。
ヨーロッパの壮大な社会実験の結果待ちで良いかとは思います。
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