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審判手続開始決定に対する答弁書の提出及び聴聞に対する陳述書の提出並びに特別損失の計上に関するお知らせ(THE WHY HOW DO COMPANY)

審判手続開始決定に対する答弁書の提出及び聴聞に対する陳述書の提出並びに特別損失の計上に関するお知らせ(PDFファイル)

THE WHY HOW DO COMPANY(東証スタンダード)のプレスリリース(2024年7月9日)。

同社に関して、金融庁の証券取引等監視委員会から、有価証券報告書等の虚偽記載に係る課徴金納付命令及び訂正報告書等の提出命令勧告が出ています(→当サイトの関連記事)。

このプレスリリースによると、同社は、監視委の指摘について争うそうです。しかし、課徴金に関しては「念のため」引当金として特別損失計上するとのことです。ただしく引用されているのかはわかりませんが、監視委の見解(「あるべき会計処理」)についてもふれています。

「当社に対して、2024年6月25日付「証券取引等監視委員会による課徴金納付命令及び訂正報告書の提出命令の勧告についてのお知らせ」にて公表いたしましたとおり、証券取引等監視委員会から内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、約5年前の当社の2019年8月期仮想通貨取引所関係のソフトウエア仮勘定の資産計上に関し、訂正報告書の提出命令及び44百万円の課徴金納付命令を発出するよう勧告(以下「本件勧告」といいます。)が行われた旨をお知らせしております。

その後、当社は、関東財務局長から2024年6月26日付「聴聞通知」を、金融庁長官から2024年6月27日付「審判手続開始決定通知書」を各受領いたしました。

当社は、本件勧告の内容について、当社代表取締役田邊勝己の当社取締役就任前の事由であるため専門家の意見も踏まえて慎重に検討しました。本件勧告は「あるべき会計処理」として「①第三者との契約書その他の合意が必要とし、かつ、②事業リスクが相当程度低いことが必要」との2要件を満たさなければ資産計上できないとの見解に基づくものです。しかし、一般に是認されている企業会計基準委員会及び公認会計士協会が公表した会計基準は本件勧告の2要件を必要十分条件とするものではなく当社は一般的会計基準に基づきこれまで正しくソフトウエアの資産計上を行い、開示を行っ
ていると判断しました。また、当社に対する証券取引等監視委員会開示検査課の検査は、金融庁が作成公表している「開示検査に関する基本指針」に反する検査手法が採られ、憲法31条に反する適正手続違反があった可能性があり、本件勧告に従うことはできないと判断しました。

そのため、本日開催の取締役会において、現時点では訂正報告書の提出は行わず、関東財務局の聴聞手続及び金融庁の審判手続きにおいて本件勧告を争う旨の弁明書等を提出することを決議いたしましたので、お知らせいたします。

当社では、本件通知書の手続きに従い、聴聞、審判手続及び裁判等において当社の主張を行って参りますが、その結果は裁判所等の第三者の判断に委ねられる結果となり、後日、課徴金44百万円の納付命令が是認される可能性もございます。

そのため、当社は、念のため2024年8月期第3四半期連結累計期間において、課徴金引当金44百万円を特別損失として計上することといたしました。」

(日本国憲法第三十一条 「何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。」)

これによると、監視委は、ソフトウェアの資産計上要件として、2つ挙げているようですが、この2つはどの基準・指針に書かれているのでしょうか。問題となっているケースでは、こうだという判断なのでしょうか。よくわかりません。

いずれにしても、審判手続(あるいはその後の裁判)において、実務家が納得できるような審議を行って、その結果を詳しく公表してもらいたいものです。

なお、金融庁ウェブサイトでは「審判手続状況一覧」が公表されており、それをみると、開示関係では、この件のほか、「(株)EduLabにおける有価証券報告書等の虚偽記載」の審判も手続き中のようです(「審判手続中(第1回審判期日は追って指定する)」)。勧告から、もう8か月も経っています。

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