米ＭＳの４－６月期、上場以来初の赤字に 買収企業の評価損発生（産経より）

米ＭＳの４－６月期、上場以来初の赤字に　買収企業の評価損発生

米マイクロソフトの２０１２年４～６月期決算で、最終損益が４億９２００万ドルの赤字（約３８７億円）に転落し、四半期ベースで１９８６年の上場以来初めて赤字を計上したという記事。

「売上高は４％増の１８０億５９００万ドルと増収を確保。主力の業務用ソフト「オフィス」などビジネス部門が７％増と堅調で、ゲーム機「Ｘｂｏｘ３６０」など娯楽部門も２０％増と売り上げを伸ばした。

　しかし、２００７年に買収したインターネット広告大手アクアンティブの業績不振に伴い、のれん代約６２億ドルを評価損として計上したことが収益を圧迫した。」

マイクロソフトは６月決算で、４～６月期は第４四半期となりますが、通期では黒字だったようです。日本基準であれば、制度開示上、第４四半期単独の数値は公表されないので、そもそもニュースにならなかったかもしれません。

Microsoft Reports Record Fourth-Quarter and Full-Year Revenue（Microsoftのプレスリリース）

会社のプレスリリースをみると、のれんの減損などを除外したnon-GAAPの数値では、増収増益であると強調しています。

The financial results reflect the previously announced non-cash, non-tax-deductible income statement charge of $6.19 billion for the impairment of goodwill and the deferral of $540 million of revenue related to the Windows Upgrade Offer. Adjusting for these items, non-GAAP fourth quarter revenue, operating income, and earnings per share were $18.60 billion, $6.93 billion, and $0.73 per share, which represented increases of 7%, 12%, and 6%, respectively, over the prior year period.

Microsoft Reports Loss After a Write-Down（ＮＹＴ）

プレスリリースでもふれていますが、のれん減損以外の特殊要因として、収益の繰延（the deferral of $540 million of revenue related to the Windows Upgrade Offer）があったようです。

Windowsの売上は、実際よりも悪い数値となっているが、その一部は、Windows 7搭載ＰＣの顧客に対して提供しているアップグレードサービスのため、収益認識の方法を変更しなければならなかったことによる。このアップグレードにおいては、ユーザーは$14.99を支払って、Windows 8にアップグレードすることができる。

Windows sales looked worse than they really were in part because Microsoft had to change how it recognized that revenue because of an offer it has extended to people who buy PCs running Windows 7. Under that offer, users can pay $14.99 to upgrade to Windows 8 when it comes out in October.

Windows 7の代金の中に、Windows 8へ有利にアップグレードできる権利の対価が含まれているため、その金額は繰り延べなければならないという理屈なのでしょうか。