「丸源ビル」のオーナーが脱税で逮捕されたという記事。
「関係者によると、川本容疑者は不動産の売却で赤字が発生したと装ったほか、社長を務めていたビル管理会社「東京商事」(昨年4月清算)への飲食店などからの賃料収入の一部を除外。平成23年12月期までの3年間に法人所得約28億8400万円を隠し、法人税約8億6200万円を免れた疑いが持たれている。」
バブルのころから派手に稼いでいたのに、なぜ今になって摘発されたのでしょうか。
「節税はゲーム」 謎のベールに包まれた億万長者、逮捕の「丸源ビル」川本容疑者(産経)
記事によると、銀行からの借金をさけたのが、資産家として成功した理由だったようです。
「民間信用調査会社などによると、川本容疑者は昭和7年、北九州市に生まれた。慶応大を中退して家業の呉服店を継いだが、その後、貸しビル業に転身。都心の一等地に次々と不動産を購入した。「銀行の融資は極力避け、賃料を軸に経営をまかなった」(不動産関係者)。
最盛期には約60棟のビルを持ち、保有テナント数は5900軒に。バブル崩壊で同業の資産家が続々と表舞台から去っても、丸源ビルは成長を続けた。「バブル景気を冷めた目で見ていて、無茶はしなかった。その冷静さが不況でも成長を続けた理由だ」。古くからの知人男性は、そう明かす。」
ただ、脱税で節約した資金も貢献していたのでしょう。
「「もうカネに執着はない」。そう語る一方で節税には並々ならぬ意欲を見せ、「ゲームのようなもの」と話した川本容疑者。会社の社名変更や住所移転を頻繁に繰り返しており、経営実態を外部から把握しづらくする工作を展開していたとみられる。」
丸源ビルはどこへ行く!? 法人税法違反容疑で逮捕された「日本の不動産王」川本源司郎容疑者が語った「今後の夢」(現代ビジネス)
本人の話では、未収の家賃を収益に計上していないだけだそうです。
「かねてから丸源グループを疑っていた東京国税局が、満を持して査察に入ったのは、昨年4月である。当初は、東京商事だけでなく他のグループ企業の工作も疑い、3年ではなく脱税の刑事時効の5年まで範囲を広げた調査を行っており、疑惑は100億円近かったという。その金額を川本容疑者に伝えると、「誰がそんなバカな数字を言っているのか」と、電話口で声を荒げたうえでこう答えた。
「不景気で、クラブもどんどん潰れるか廃業するところが多くなった。日本人の"質"がホントに落ちたと思うのは、そんな時、みんな踏み倒し、払うものも払わんで出て行く。ウチはカネ貸しじゃないし、早く社交ビルをやめたいから未払いは放置している。
でも国税は、それをウチがカネ(家賃)を受け取ったのに、申告していないと誤解した。その後、国税が相手の(クラブ経営会社)側に調査に行って、わかってくれた。私の資産は数百億年。そんな人間が日本に何人おる? 脱税なんかするわけはない」」
もちろん、仮にその通りだとしても、税務・会計の理屈では、未収であろうがいったん収益に計上したうえで、貸倒処理することが必要になります。(そんなことは十分承知しているのでしょうが・・・)
スケールはだいぶ違いますが、こういう脱税の記事もありました。
↓
宮司が相続税8千万円脱税容疑 東京国税局、横浜地検に告発(産経)
「関係者によると、××宮司は平成22年7月に死亡した母親=当時(90)=名義の複数の口座から現金を引き出したまま、期限までに税務署に申告せずに相続財産約3億円を隠し、相続税約8千万円を脱税した疑いが持たれている。
××宮司によると、隠した相続財産の一部は3人の子供に渡し、大半を自宅で保管していた。法定相続人は××宮司1人だった。」
これではすぐに発覚しそうです。
「公認会計士・監査法人に対する懲戒処分等の考え方(処分基準)について」(別紙)の一部改定案の公表について(金融庁)
会計士の自己脱税に対する行政処分が厳しくなるようです。
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