会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

企業、膨らむ情報開示に悲鳴 世界で突出も投資家は不満(日経より)

企業、膨らむ情報開示に悲鳴 世界で突出も投資家は不満(記事冒頭のみ)

上場企業の情報開示の負担が重くなっているという特集記事。開示のボリュームの大きさにもかかわらず、投資家からの評価はあまり高くないのだそうです。

「上場企業が情報開示の負担の重さに悲鳴を上げている。財務状況のほか社会貢献への取り組みなど、世界の変化を受け投資家が知りたい情報は年々増える。これに加え、日本は複数の法律やルールに合わせ、開示書類を別々に作る特有の煩雑さがある。情報量の多さは世界でも突出する一方、投資家の希望に添い切れていないという矛盾を抱える。」

記事では、一応、解決のためのヒントみたいなものが書いてあります。

「日本で企業の負担感が強まるのは、法律や規則ごとに複数の書類を作らなければならないためだ。」

「東京都立大学の北川哲雄特任教授によると、欧州では複数の法令に対し、有報にあたる年次報告書という1つの書類での開示が主流だ。対照的に日本は「情報開示を求める法令やルールごとに、書類を整備する形で対応してきた」(公認会計士の森洋一氏)ことで多くの書類が必要になった。

役所や証券取引所ごとの法規に縛られた非効率な開示スタイルの結果、日本は世界でも有数の「開示大国」になった。」

「企業の負担を抑えながら、投資家に必要な経営データを提供するには法規ごとにバラバラの開示義務を見直す必要がある。」

ということで、先日公表された経産省の報告書(「企業情報開示のあり方に関する懇談会 課題と今後の方向性(中間報告)」)にふれています(→当サイトの関連記事)。

私見ですが、速報版としての決算短信と、確定版としての会社法開示・金商法開示を兼ねた年次報告書(有報は年次報告書添付で相当部分代用させる)の2つに集約するのがよいのでは。その他の任意開示は、うそを書かない限り、企業の自由に任せればよいでしょう。

会社法と金商法、単体と連結で、微妙な差をつけることが、簡素化だという考え方も、そろそろやめるべきでしょう。また、会社法は日本独自の会計を守るべき、包括利益もキャッシュフローも入れるなといった変な国粋主義も、一本化の妨げでしょう。

(会計士業界としては、先人が努力して会社法(当時は商法)の会計監査人監査制度を導入したという経緯があるので、一本化を提唱するのには抵抗があるのかもしれませんが)

一体開示、さらに踏み込む(経営財務)

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