会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

太陽監査に業務停止命令 金融庁 虚偽記載「適正」と証明(日経より)

太陽監査に業務停止命令 金融庁 虚偽記載「適正」と証明(記事冒頭のみ)

太陽監査法人への行政処分は、業界的には大事件ですが、報道ではさほど大きな扱いはされていないようです。

「金融庁は26日、準大手の太陽監査法人(東京・港)に対して契約の新規締結を3カ月間停止する業務停止命令を出した。財務諸表で多くの虚偽記載をしていたディー・ディー・エスの監査で、注意を怠り虚偽記載がないと証明したのが理由だ。」

会計士2人は「財務書類の間違いが初歩的なものにもかかわらず注意を怠り、適正であると監査証明していた」とされています。

さらに審査担当社員も(会計士としての業務停止ではありませんが)処分対象になっています。

「この社員は会計士の評価内容を十分に検証しないまま対応を終えていた。」

この処分の対象は、日経記事ではふれていませんが、主として訂正報告書の財務諸表の監査報告書です(訂正でない四半期財務諸表のレビューも対象ですが、それも過年度訂正と同じ時期に実施)。訂正前の不正会計を見逃したこと(本来はこっちの方が重要)ではなく、その後始末である訂正報告書の財務諸表のチェックでの見落とし(記事によれば「初歩的なもの」)について、厳しい処分だったことは考えさせられます。監査の中身より、ミスしたら簡単にバレてしまう表示チェックを重視するという流れにならなければよいのですが...。もちろん、「初歩的なもの」すらできていなければ、高度な手続きは、もっとできていないはずと見ることもできますが...。

また、監査ミスの背景としては、会社が訂正を繰り返したり(監査なしの訂正もしている)、上場廃止を回避しようとして急いでいたなどの事情もあるようです。いまのEDINETの仕組みでは、監査人の了解なしに監査報告書をアップすることが可能になっていますが、その点にも問題があるのかもしれません。また、監査に使ったドラフトと違う財務諸表が掲載された場合に、監査人としてどうするのかという点も検討が必要かもしれません。

金融庁のリリースだけでは、本当の問題点は明らかになっていないようです。会計士協会あたりで、再度検証した方がよいのではないでしょうか。

youtube動画でこの問題を取り上げているものがありました。

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