楽天・三木谷を苦しめる「不良幹部社員」は4億円タワマンに住んでいた
日本ロジステックという物流会社の破綻の原因ともなった楽天モバイル不正支出事件のややくわしい解説記事。
「楽天モバイルの基地局設置を巡り、物流業界を揺るがす事件が発生した。楽天モバイルの部長職にある男性幹部社員が、取引先の物流2社と組み、楽天モバイルへの水増し請求を続けてその総額が約46億円に達した。」
「事件となった商流は、楽天モバイル→日本ロジステック→東京都港区の物流A社→京都府の元幹部社員の妻が経営するB社というものだ。
A社は2014年に神奈川県厚木市で創業。業歴8年にも関わらず、楽天モバイルの商流に乗って、19年3月期に約9億円の売り上げが、20年に約26億円、21年に約92億円と急成長した。それに合わせて本社を東京・港区に移し、相模原市に管理本部を置き、全国に営業所を構えた。
成長に合わせてレーシングドライバーとスポンサー契約を結ぶなど、万事、派手になっていくが、楽天モバイル幹部を巻き込む不正を知るのは社長ら幹部だけ。そのため現場は混乱している。港区芝公園のビルをワンフロア借りていた本社は既に閉じられており、管理本部の電話も通じない。」
「元幹部社員の自宅は、港区高輪の都営地下鉄駅から徒歩2分のタワーマンションだ。昨年10月に新築された26階建て。その最上階136平方メートルをキャッシュで購入した。売り出し価格は約4億円だった。その妻が経営するB社は京都府城陽市の一軒家。18年2月、福岡県北九州市に設立され20年2月、京都に移転した。その時点の代表はA社常務なので、A社が元幹部社員夫妻を抱き込んだのだろう。ただ、夫妻が手に入れた高級マンションやB社資産は、楽天モバイルが差し押さえている。」
東京国税局が不正流用の端緒をつかんだのだそうです。残念ながら、会社の内部監査や外部監査で発見した不正ではないようです。
記事でもふれているように、楽天モバイルは、基地局整備を急速に進めていましたが、そこに無理があり、不良従業員や取引先につけ込まれてしまったのでしょう。もちろん、不正という副作用があったにせよ、基地局整備を計画より前倒しで達成できたことは、経営的にはプラスだったのかもしれません。
会計上は、この46億円が基地局などの固定資産の取得原価に含まれていれば、決算の訂正という話になりますが、会社の規模からして、そこまではやらないのでしょう。簿価水増し分を当期に一括損失処理することはあるのかもしれません。また、記事の中でもいっているように、本当にこの46億円だけなのかという問題もあります。
設備投資関連の内部統制の見直しも必要でしょう。楽天モバイルのリリースによれば「社内調査、内部管理体制の一層の強化、社内規程の周知およびコンプライアンス教育を徹底」するそうです。