米中、米上場中国企業の監査巡る協定に調印 上場廃止リスク回避
米国で上場している中国企業の監査人に対する米国当局(PCAOB)による検査に関して、PCAOBと中国証券規制当局で合意がなされたことは、当サイトでもすでに取り上げていますが、これは、その合意内容を少し詳しく伝える記事。
基本的は、PCAOBが自由に検査できるということのようです。
「協定はSECの監督下にある上場企業会計監視委員会(PCAOB)と、中国証券監督管理委員会が調印。原則的にPCAOBは中国企業の未修正の監査書類を入手して中国と香港の監査法人の職員から聞き取りを行う権限を得るほか、検査対象も独自に決定できるようになるとみられる。」
すでに検査の準備に取りかかっているようです。
「米当局者らは26日午前に検査対象の企業に通知したとし、検査が行われる香港に9月中旬までに検査官が到着する見通しだと述べた。PCAOBは、中国での厳しい新型コロナウイルス関連規制に鑑みて香港で検査を行うと説明、将来的に中国本土で実施する選択肢もあるとした。」
「米当局者らは協定調印は最初のステップに過ぎず、検査が妨害されずに行われるかどうかで中国側の順守状況が判断されると指摘した。」
中国企業を米国の市場から追い出したいという動機もあるのかもしれませんが、建前としては、中国企業の会計監査の質を米国当局が十分に検査できるようにすることが目的ですから、その目的が果たされれば、それ以上争う必要はないのでしょう。
米国で上場している日本企業も、PCAOBの検査を受けているはずですが、どんな検査なのでしょう。米国(の主権が及ぶ太平洋の島)まで監査調書を持ち込んで、受けているといううわさをきいたことがありますが...
(補足)
中国メディアの報道です。
米国上場の中国系企業「上場廃止回避」に光明 監査法人の監督に関する相互協力に米中が合意(東洋経済)
「今回の協定の締結により、アメリカに上場する中国系企業の上場廃止リスクは解消されたのだろうか。この問いに対して証監会は、「この協定は中米双方が協力の強化を通じて中国系企業の監査・監督の問題を解決するために踏み出した重要な一歩であり、市場関係者の期待と予想に合致するものだ」とコメントした。
証監会はさらに、国境を超えた監査・監督の協力を合法的に推進することは、(中国の)監査法人の質を高めることにつながるほか、海外市場での上場を目指す(中国の)企業のために、(当局による)国際的な監督体制の良好な枠組みを提供することにもつながるとしている。」