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「不思議の国」のカルロス・ゴーン(DOLより)

「不思議の国」のカルロス・ゴーン(The Wall Street Journal 配信)

日産ゴーン事件関連記事。1月8日のゴーン氏意見陳述とその後の弁護団記者会見をもとにしているようです。

「世界が知りつつあるように、日本の検察のやり方は誰かを起訴して裁判に持ち込み、被告に証拠を突き付けるものではない。有罪を認めるまで被疑者を拘束し、弁護士の立ち会いなしに尋問する。裁判は基本的に形式的なもので、あらかじめ有罪は決まっている。」

それぞれの容疑事実について書いていますが、基本的にはゴーン氏側の見解を採用しているようです。

「検察にとって問題なのは、ゴーン氏が一貫して不正行為を否定し、容疑を否認していることだ。弁護人が勾留理由開示手続きを請求したことから、ゴーン氏は出廷し、初めて公に無実を訴えることができた。ゴーン氏の意見陳述は、検察が明らかにしている証拠より説得力があるものだ。」

役員報酬の虚偽記載問題については...

「ゴーン氏は法廷で、「検察による訴追は全く誤っている。開示されていない報酬を日産から受け取ったことはない」と述べた。

「報酬」はゴーン氏が記録していた概念上のものであり、日産からの報酬額が国際的な自動車メーカーの標準に沿っていれば得ていたかもしれない額のことだ。同氏の報酬がそうした水準より少ないことは誰もが知っていたし、フォードやゼネラル・モーターズ(GM)はゴーン氏を日産から引き抜こうとしていた。

だがゴーン氏によると、開示されていない確定額の報酬について「法的な効力のある契約」を日産と締結したことはない。ゴーン氏は、退任後の報酬に関する提案書のドラフトは「社内外の」弁護士のチェックを受けており、やはり契約を交わしていないとしている。報酬ではなく契約もしていない金額について開示しなかったのがなぜ犯罪なのか、検察の説明を聞くのが楽しみだ。」

為替スワップ契約の付け替えについては...

「日産の最高経営責任者(CEO)時代に、ドル円相場の変動対策として結んでいた為替スワップ契約の担保を日産がカバーした件。ゴーン氏は報酬を円で受け取っていたが、日本国外でドル建ての費用があった。契約の主体は後にゴーン氏に戻り、日産に損失はなかった

ジュファリ氏に対する支払については...

「検察はまた、ゴーン氏が長年の日産のパートナーであるハリド・ジュファリ氏に対して日産から支払わせたのは、ゴーン氏個人への仕事の対価だったとしている。だがジュファリ氏もゴーン氏も、支払いは「日産に対して極めて重要な業務を推進」したことに対する適切なものだと話している。」

勾留をさらに延長することへの批判。

「勾留取り消し請求に対する判断は週内に下される見通しだが、勾留を延長するために検察が新たな容疑を持ち出すことも考えられる。検察は逃亡や証拠隠滅の恐れがあると言うが、これまでに十分な証拠が見つかっていないのなら何を隠滅するというのか。」

そもそも、刑事事件なのかといっています。

「いずれも私たちにとっては、法廷ではなく役員室で扱うべき問題のように思える。」

ゴーン氏寄りすぎるようにも思われますが、リーク情報はバイアスがかかっているかもしれないので無視し、検察の結論だけでほとんど中身のない公式発表と、ゴーン氏がリスクをとって法廷で述べ、弁護団が記者会見の場で説明した内容とを、比較検討すると、こういう結論になるのでしょう。

同じWall Street Journalの記事ですが、こちらは、ゴーン氏の経営手腕について批判的なことを書いています。

日産に必要なのは第2のゴーン、再建の道遠く(DOL)

「調査サイトの「Smartkarma」にリポートを掲載しているTAPジャパンのアナリスト、キャンベル・ガン氏によると、ゴーン容疑者を起用した1999年3月からの18年間、日産の売上高は年率わずか3.9%増となっている。日産の営業利益率はゴーン容疑者が最高執行責任者(COO)に就任した1999年以降に大幅な伸びを示したが、足元では三菱自動車を含めた他社を下回っている。16年に経営危機に陥っていた三菱自動車を救済したのは、他ならぬ日産だ。

日産にとって米国は、成長市場ではなく問題を抱える市場に一変した。利益率の低いレンタカーや法人向け市場への依存から脱しようと取り組む中、昨年の売上高は6.2%減少した。日産の車種は依然として、不人気の小型車に偏っている。米市場全体に占める乗用車の販売比率は32%にとどまるが、日産が昨年販売した車両のうち約42%は乗用車だった。」
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