会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

東芝決算「限定付き適正」 前期、監査法人方針(日経より)

東芝決算「限定付き適正」
前期、監査法人方針 上場廃止ひとまず回避
(記事冒頭のみ)

東芝2017年3月期の監査意見に関する予想記事はこれがほぼ最後だと思いますが、PwCあらた監査法人が「限定付き適正」とする方針を示したという記事。

「東芝の監査は16年3月期まで新日本監査法人が担当。15年に発覚した会計不祥事を受け、17年3月期からあらたに代わった。あらたは今年4月、東芝の16年4〜12月期を「不表明」とし、17年3月期について東芝と協議していた。昨年末に発覚した米原発事業の損失(約6000億円)の認識時期に食い違いがあったからだ。

損失は15年末に買収した米原発建設会社で発生したが、あらたは買収直後に損失を認識できた可能性を指摘。一部は16年3月期決算に反映すべきだと訂正を求めていた。

一方、東芝は第三者機関を使った追加調査などで「損失判明は16年秋ごろ」と主張。前任の新日本も「16年3月期は適正で訂正は必要ない」との見解を示していた。有報の提出を先送りしたうえで議論を重ねてきたが、17年3月期の財務情報がおおむね正常な点などを踏まえ「限定付き適正」とあらたが結論付け、東芝も受け入れる方向だ。」

東芝決算、監査法人が「部分承認」 債務超過解消、次の課題(日経)(記事冒頭のみ)

「あらたが問題視してきたのは16年末に開示した米原発事業の巨額損失の認識時期だ。同損失は15年末に買収した米原発建設会社で発生。東芝は損失を認識した17年3月期に計上するとしてきたが、あらたは買収直後に損失を認識した可能性を指摘。あらたは当時に遡って損失を計上し、16年3月期決算を訂正するよう求めてきた。

16年3月期の決算を監査した前任の新日本監査法人は「16年3月期決算は適正で、訂正は必要ない」と主張した。東芝はあらたの訂正要請に従うことができず、この結果、あらたは「限定付き適正」の監査意見を提示した。

これで東芝は上場維持に向け一歩前進する。「無限定適正」にならない理由が虚偽などの悪質行為があれば問題だが、今回のケースは新旧監査法人の「見解の相違」が影響しているからだ。」

これだとまるで、新日本がごねたから東芝は訂正できなかったみたいにも読めます。新旧監査法人の「見解の相違」のせいにして、正しい財務諸表を開示する責任が放棄されているようです。

そもそも、新日本は見解を固められるほど、米原発事業の巨額損失について調べたのでしょうか。東芝側の情報だけで、東芝に都合のいい見解を示したのではないかとの疑念も感じます。

結局「東芝+新日本」対「あらた」という構図で終わりそうですが、あらたの監査報告書で、「東芝+新日本」を論破できるだけの内容が盛り込まれているのか、注目されます。
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