会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

東芝決算の監査意見、財務情報「限定適正」 内部統制「不適正」=関係筋(ロイターより)

東芝決算の監査意見、財務情報「限定適正」 内部統制「不適正」=関係筋

東芝の2017年3月期の監査は、財務情報に対しては「限定付き適正」、内部統制については「不適正」との意見を表明する方向だという記事。複数の関係筋(東芝?金融庁?)がニュースソースとのことです。

「PwCあらたは、17年3月期について、貸借対照表は「適正」と評価する一方、損益計算書に関しては、17年3月期に計上した米原発子会社ウエスチングハウス(WH)関連の損失約6000億円について、一部を16年3月期に計上すべきであったと主張しており、東芝や当時の監査担当だった新日本監査法人と意見が一致していない。このため、財務情報については「限定付き適正」とする。

一方、財務を適切に管理する内部統制については、不備があると認識しており、「不適正」を表明する方向だ。有報に対する監査意見は、財務情報と内部統制とに分けて表明することができる。」

監査報告書は財務諸表全体に対する意見を表明するものなので、貸借対照表だけ「適正」という意見はあり得ません。しかし、「限定付意見」でその限定の内容が貸借対照表に無関係であれば、結果として、貸借対照表はお墨付きが与えられたことになるのでしょう。(そもそも、数千億円も間違っているのに「限定付」でいいのかという問題がありますが)

内部統制に関しては、会社による内部統制評価が正しいかどうかを監査人が意見表明するという立て付けなので、会社が自ら、重要な不備ありと評価していれば、「不適正」とはならないでしょう(多くの会計不正はこのパターン)。

しかし、会社が財務諸表に重要な誤りがないというスタンスであれば、内部統制評価も重要な不備なしという結論なのかもしれません。そうすろと、内部統制監査では、「重要な不備なし」という会社の評価は間違っているという監査意見(不適正意見)になるのでしょう。(監査人が指摘した重要な会計処理誤りを訂正しようともしないのですから、監査人としては「内部統制に重要な不備あり」と判断せざるを得ません。)

上場廃止を審査する東証も、内部統制は(会社のいうとおり?)「重要な不備なし」なのか、それとも、監査人による会計処理誤りの指摘にまともに対応しないけしからん会社である、したがって「重要な不備あり」なのか、判断が迫られることになりそうです。
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