会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

欧州企業の「のれん」減損処理加速へ、経営責任問われる事態も(朝日より)

アングル:欧州企業の「のれん」減損処理加速へ、経営責任問われる事態も

欧州の監督当局がのれんの減損について疑念を持ち始めているという記事。

「欧州証券市場監督局(ESMA)は今月、EU域内の235社を調べ、のれん代の減損処理額が総額の5%にとどまったとの試算を明らかにした。ESMAは、今年発表する決算でのれんの減損処理を適正に行わない場合は、企業や会計士の名前を公表する方針だ。」

5%で済むはずがないと見ているのでしょうか。

「イタリアの自動車メーカー、フィアットは2011年決算で104億ユーロののれんを計上した。これは時価総額のほぼ2倍に相当する。プジョーののれんは15億ユーロ。同社の時価総額は21億ユーロだ。2006年の合併から期待したほどのシナジー効果をあげられていない仏米系通信機器メーカー、アルカテル・ルーセントののれんは43億ユーロ。時価総額は30億ユーロ。

銀行では、イタリアのバンコ・ポポラーレの時価総額が簿価の24%、ウニオネ・ディ・バンケ・イタリオアーネは29%という状況だ。」

「資源大手リオ・ティントは、大型買収の減損処理で経営トップが辞任した。

 リオの大株主の1人は「話は単純。大型買収、特にプレミアムが大きい大型買収は危険だということだ」とロイターに語った。」

「リオと並ぶ資源大手BHPビリトンも、鉄鉱石価格の下落やコスト高を受け、のれんの減損処理を迫られるとみられている。」

買収の値段が高すぎるのが、減損発生の理由の一つでしょう。こちらの記事では、M&Aの際の相手先企業の評価について、いくつかのヒントを挙げています。

Eyes on the Price: How to Value Mergers(CFO)

Curb your enthusiasm.

Don’t pay for synergies (mostly).

Keep financial models honest.

Hedge the deal.

Don't overpay.

ESMAのプレスリリース

ESMA calls for improvements in disclosures related to goodwill impairment

The report shows that significant impairment losses of goodwill were limited to a handful of issuers, mostly in the financial services (€19,2bn) and telecommunication industry (€9,7bn). This therefore raises the question as to whether the level of impairment disclosed in 2011 financial reports appropriately reflects the difficult economic operating environment for companies. Although the major disclosures related to goodwill impairment testing were generally provided, in many cases these were of the boilerplate variety and not entity-specific.

のれん減損の水準が、企業の厳しい経済環境を反映していないのではないかという疑念があり、また、のれんの減損テストに関する開示も不十分(boilerplate variety 画一的な言葉)だといっています。
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近の「企業会計」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事