会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

ゴーン被告きょう会見、午後10時-日産との攻防に新たな幕開けか(ブルームバーグより)

ゴーン被告きょう会見、午後10時-日産との攻防に新たな幕開けか

ゴーン氏逃亡関連記事ですが、いくつか興味深い情報が含まれています。

「複数の関係者が匿名を条件に、日産がゴーン被告や金融商品取引法違反の罪で起訴されたグレッグ・ケリー元代表取締役による不正行為の調査に、弁護士や調査員、警備担当者の費用なども合わせて計2億ドル(217億円)以上を費やしていることを明らかにした。

関係者の1人によると、東京地検の要請に基づき、同社はゴーン被告が日産の最高執行責任者(COO)に就任した1999年以降に発信された約600万通の電子メールを調べるために専門家も雇用。中東でも調査員を使うなどして、ゴーン被告の不正な行いについて調査を進めた。」

「SBI証券の遠藤功治シニアアナリストは、調査に多額の資金を費やしたことについて、「権力闘争の結果として一方が追い出されて尻尾をつかむために200億円も払っているのはばかげているという言い方もできなくはない」とし、株主からすれば「あまりにも大きい金額」と述べた。」

これでは、特捜部の捜査に日産が協力しているという範囲を超えて、日産と特捜部が共同で、ゴーン氏を追放するための作業をやっているように見えます。お金がかかる情報集め(海外取引関連を含む)は、弁護士事務所などに指示して日産が行い、身柄を拘束するなどの権力的な部分は、特捜部がやるという分担なのでしょう。当然、特捜部に情報を出す段階で、自分たちに都合の悪い情報は出さないようにするなど、操作をしているのでしょうし、特捜部も日産に実作業をやらせている関係上、それを容認しているのでしょう。ゴーン氏側の批判にも一理あるように思えてきます。

「別の関係者によると、日産は今後、ゴーン被告のために同社が約875万ドルで購入し、改装や家具の調達費用まで負担したベイルートの住居も俎上(そじょう)に載せる方針。

ゴーン被告による住居の占有は不法と見なし強制退去を求める考えだが、同被告の代理人は住居は正式に認められた退職金の一部だとして抵抗しているという。このほか、同被告を相手取り、レバノンでの損害賠償を求めて提訴する可能性もあるという。」

日産はこの住居も日産の被害の一部だと主張していたと思いますが、日産が所有権を持っていて、ゴーン氏らを退去させる権限があるのであれば、売却するなどして購入費用は全部ではないかもしれませんが回収できることになります。被害額を水増ししていたということになるでしょう。ある報道によれば、この住宅は資産価値が18億円もあるということですから、損失どころか利益が出るかもしれません(改装費などの金額にもよりますが)。

ゴーン氏側からすると、日産役員として業務に必要なので日産から借りていただけだ、横領ではないという主張になるはずですが、役員をやめた時点で退去せず、居座っていたのでは、説明がつきません。すんなり退去した方が有利にも思えますが、それだけ強欲なのでしょう。

その他関連記事。

比較的バランスの取れた記事。

ゴーン氏がまた露呈させた日本の弱点(日経ビジネス)

「ゴーン氏は19年1月、自らの保釈条件として、GPS(全地球測位システム)などで居場所を常に確認できる装置の装着を受け入れることを表明していた。この手法は、カナダ当局が拘束した華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟・副会長兼最高財務責任者(CFO)の保釈条件となるなど、海外で導入されている。

しかし、裁判所はそこまでする必要がないとの判断からこの案を採用しなかったもようだ。そして、玄関にカメラを備えるという原始的な監視方法を選び「ゴーン氏が外出する時は尾行がついていた」(関係者)。結果的に「24時間監視」という手法は効力を発揮しなかった。」

「ゴーン氏が日本の「弱点」を明らかにするのはこれが最初ではない。

 まずは緩慢な企業統治(ガバナンス)だ。日本の会社法が上場企業に求めているのは、取締役報酬の総額の開示。年額1億円以上の取締役の個別開示は有価証券報告書で行うことになっているが、配分は代表取締役に一任するのが一般的だ。19年に日産が導入したような、独立取締役による報酬委員会などの設置は義務付けられていない。いわば性善説に基づくルールで、ゴーン氏はここを突破口として暴走を加速させた。」

これも、ゴーン氏の妻の口封じのためでしょう。

ゴーン被告会見前に「妻通じ証拠隠滅」と主張か 特捜部、異例の逮捕状取得発表(毎日)

「逮捕状によると、キャロル容疑者は同月に東京地裁で刑事訴訟法に基づき実施された初公判前の証人尋問で、販売代理店の役員と連絡を取り、会っていたにもかかわらず、「役員のことは知らない」などと虚偽の陳述をした疑いが持たれている。」

次は弁護士を逮捕するのでしょうか。特捜部ならやりかねません。

ゴーン被告が使っていたパソコン差し押さえ 弁護側が拒否(NHK)

「弁護士には依頼者の秘密を守るため、令状に基づく差し押さえを拒否する権利が法律で認められていて、弁護側はこの権利に基づいて差し押さえを拒否したものとみられます。」

日本がペルーの大統領(日本との二重国籍者)をかくまっていたことにふれています。

「ほら、日本ってめちゃくちゃでしょ」 ゴーン氏の逆襲をナメてはいけない(ITmedia)

「我々も今のレバノンとそう変わらぬ形で、ゴーン氏と同様に国際手配された人物の引き渡しを拒んだ過去があるからだ。

もうお分かりだろう、そう、アルベルト・フジモリ氏だ。日系2世のフジモリ氏はペルー共和国の大統領だったが、さまざま不正や虐殺事件の指揮などの疑惑が指摘されると、首脳会談にかこつけて国外脱出して日本へ身を寄せた。

そこでペルー政府としては、フジモリ氏の身柄の引き渡しを求めたが、日本政府はけんもほろろに突き返した。...

フジモリ氏は選挙では日本国籍はないとペルー国民に説明していたが実は真っ赤なうそで、「二重国籍」の持ち主だったのである。特別なルールがない限り、主権国家は自国民を守らなくてはいけない。政治的迫害から逃れてきた者だろうが、犯罪者だろうが、よその国に求められるままホイホイと差し出してしまったら、その国の独立性を否定することになるからだ。

とはいえ、こんな理不尽な話でペルー国民は納得しない。ほどなくして、逮捕状を請求したインターポールに国際逮捕手配書を発行してもらった。そこに並ぶ容疑は、24人もの民間人の虐殺を指揮したという殺人の疑いのほか、暴行、文書偽造、誘拐など。ゴーン氏のなんちゃらルートを使った不正送金が霞んで見えるほどの罪状だが、日本政府はこれも軽くスルーした。」

これも同趣旨のコラム記事。

パンツの中まで調べられたゴーン氏が選んだ治外法権(JPpress)

「例えば私たちは「北朝鮮」から脱出してきた人たちを、命がけで不当な権力に背を向けた英雄のように捉えることがあります。

 ベルリンでは、冷戦時代に「ベルリンの壁」を突破して自由な西側世界に脱出してきた人たちは、事実「英雄」でもありました。

 これと同じように、今回のカルロス・ゴーン氏「日本脱出」・・・「脱北」同様に短縮するなら「脱日」とでも呼ぶべきでしょうか・・・を、国際世論が「正義の行動」と捉えれば、日本国にとっては大変なダメージになるでしょう。」

「国際社会を見渡せば、容疑者段階では実名を報道しないケースも少なくありません。

 しかし、日本では一度「逮捕」されると、仮に誤認逮捕で、無罪が確定して「前科」なしでも「前歴」がつきます。それが露わになると、就職その他に著しい困難があるのが日本社会の現実です。

 翻ってフランスでは、大統領を務めた二コラ・サルコジは故カダフィ大佐からのリビア・ゲート献金問題で2度も身柄を拘束されていますが、昨年10月は「即位正殿の儀」にフランスを代表して参列しています。」

これはもう少し冷静なコラム記事(検察や日本のマスコミなどには批判的)。

日本政府はゴーン氏に英語で反論をする準備をせよ(BLOGOS)

「保釈中に国外逃亡したことの違法性と、そもそもの横領事件の違法性とは、別次元の問題になる。国外逃亡したのだから、そもそもの事件でも犯罪者であったことが確定したし、検察の保釈不当の訴えにも理があった、という主張をするのは、愚の骨頂だ。むしろ無罪の者でも拘束し続ければいずれ自白すると考えているので拘束し続ける、という悪評を裏付けることになる。」

「「日本の国内法ではこうなっている」とつぶやくだけのガラパゴス的な対応では、日本という国の国際的な威信が崩壊する。

従来から、私は、憲法学「通説」批判の観点から、日本の司法界のガラパゴス性について問題提起をする文章を書いてきた。おそらく日本の検察では、国際的な議論に対抗することはできないだろう。外交当局や政治指導部が、英語で、論理的で説得力のある議論を、速やかに国際的に発信していく準備をしなければならない。」

この件も日産と特捜部が結託していた証拠でしょう。日産は違法行為をやらせていたようです(特捜部も容認?)。

ゴーン被告、監視中止当日に逃亡 日産手配の業者に告訴警告(産経)

「弘中氏は同12月25日、弁護団で調べた結果、行動監視していたのは東京都内の警備会社だと判明したと説明した上、ゴーン被告本人から委任状を受け、警備会社を軽犯罪法違反と探偵業法違反の罪で年内に刑事告訴すると表明。」

「日産側は、刑事告訴するとの情報を入手し、24時間に近い形で続けていた行動監視を同月29日にいったん中止。」

フランスやアメリカやレバノンの見方は...

逃亡後のゴーンが明かした日本への「復讐計画」(東洋経済)

「電子ブレスレットを使用すれば、100%確実につけている人を監視することができ、逃亡リスクを排除できるので、不必要な身柄拘束を回避することができる。それにもかかわらず、日本の裁判所や検察は、あえて人手のかかる監視方法に頼っていた。こうした技術が使われていれば、ゴーン氏の人権は尊重されていただろうし、ゴーン氏の逃亡を防ぐこともできただろう。」

検察は保釈させたくないから、保釈時の逃亡防止方法をあえて検討しなかったのでしょう。

「一方、フランス人の中には日本の司法制度に反感を覚え、ゴーン氏の驚くべき逃亡を賞賛している人たちもいる。彼らは、ゴーン氏の逃亡をまるでアレクサンドル・デュマのモンテクリスト伯の大脱走のような有名な逃亡劇の現代版であるかのように見ているのだ。

フランスのル・ポワン誌が昨年12月31日ネットで行った統計によると、読者のうち75%がゴーンの日本からの脱走に賛成している。 フィガロ誌のオンラインでの統計でも回答者の82%が、ゴーン氏の逃亡は正しいことだと考えている。アメリカのウォールストリートジャーナルも、1月1日に掲載した社説にて、日本の司法制度に鑑みればゴーンが日本から逃亡したことは理解できることだと書いている。」

「実際、首都ベイルートでは、ゴーン氏は国外放浪から舞い戻った英雄として扱われている。「ゴーン氏が日本を脱出したことに不満を持つレバノン人には1人として出会っていない。彼が日本の司法にいかに恥辱を与えられたか、大半のレバノン人は怒りを覚えているのだ」と、ベイルートで活動するレバノン人弁護士は話す。」

「一方、レバノンはゴーン氏を受け入れることで、その評判を一層下げることになるのは避けられない。「レバノンはすでに悪人であふれかえっている。これ以上いらないのに」と、あるレバノン人ジャーナリストは話す。」

「今後、ゴーン氏はレバノンで大きな役割を担うことになるかもしれない。この国や企業の成長は、ゴーン氏の利益にもつながる。同氏はIksirという名の小さなワイナリーと、小さいながら活動的な銀行、Saradar、そしてCedrarと呼ばれる不動産プロジェクトの株を保有しているのだ。」

これはゴーン氏逃亡前の記事。ルノーと日産のコミュニケーションが全然取れていなかったようです。

ルノー前CEOが日産を糾弾 書簡で経営不透明と仏紙(東京)(共同通信配信)

「日産の取締役を兼務していたボロレ氏は10月8日付の書簡で、日産の経営に関わる重要な問題について「驚いたことに経営陣からではなく、記事や内部告発で知ることばかりだった」と言及。日産法務部門の幹部が前会長カルロス・ゴーン被告の社内調査に関して利益相反の可能性があると社内で指摘したことを米紙が9月に報じたことなどに触れた。」
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