会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

スタンフォード生は「東芝不正会計」から何を学ぶ?(日経より)

スタンフォード生は「東芝不正会計」から何を学ぶ?

米スタンフォード大学経営大学院の会計学助教授へのインタビュー記事の第2回。

企業情報開示の方法についても議論し、教えているそうです。

「佐藤:具体的にはどのような事例を議論しますか。

ブランケスプール:イギリスの石油会社BPによるメキシコ湾原油流出事故の事例を取り上げます。資料のフォーマット、開示する場、開示メディアに加えて、いくつかのテーマを掘り下げて議論します。特に「アーニングス・ガイダンス(経営者による業績予想)を開示すべきか、開示は会社にとってプラスか、マイナスか」という点について深くディスカッションします。アーニングス・ガイダンスの開示については学者間でも、実務家の間でも、賛否両論あるからです。」

東芝粉飾事件も授業で取り上げたそうです。事件の教訓はありきたりな感じもしますが...

「東芝の不正会計では、膨大かつ詳細な調査資料が発表されました。これほどの資料が開示されるのは極めて稀(まれ)なことです。私が特に注目したのが、会計方針の選択後、経営陣が何をどのように判断し、それがどのように財務諸表の数字につながったかという点です。この過程に東芝の企業風土が大きく関わっていました。」

「最も大きな学びは、経営陣が部下に目標を伝えるときの「口調」が、最終的には財務諸表の数字に大きな影響を与えるということです。経営陣が強い口調で目標必達を伝え、部下が「これはどんなことをしてでも達成しなくてはならないことなのだ」と感じとったら、どうなるでしょうか。部下は数字を合わせるために、あらゆる手段を考えることでしょう。その結果、数字の改ざんや粉飾が行われ、正しい会計情報があがってこなくなります。故意に不正をするつもりはなくても、会社の企業風土が経営者の判断を狂わせることもあるのです。」

東芝が公表したのは、詳細な報告書で、参考になる資料には違いないのですが、当然、不正だと当局や会社が認めた事項にしかふれていないので、今となって思えば、東芝にとって最大のリスク要因だった海外原子力事業から、関心をそらしてしまう結果を招いたともいえます。
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