会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

温暖化ガス開示義務づけ、米でも 企業の対応急務に(日経より)

温暖化ガス開示義務づけ、米でも 企業の対応急務に

米SECの新しい気候関連開示ルール(→当サイトの関連記事)の少し詳しい記事。

スコープ3排出量の開示は見送られました。

「スコープ3は把握するためのコストが重いうえ、上場企業と取引のある非上場企業に間接的な負担を強いる。産業界は負担増に懸念を示し、ESG(環境・社会・企業統治)をイデオロギー的と見なす野党・共和党は批判した。当初案を提案した後のパブリックコメントでは2万4000件以上の意見が寄せられ、異例の多さとなった。」

欧州では...

「気候関連などサステナビリティー情報開示の制度化は世界的な潮流だ。欧州で24年度から始まった制度は開示領域が環境や社会など広い。温暖化ガス排出量はスコープ3まで必要だ。欧州で一定規模以上の事業を手掛ける海外企業も欧州子会社や親会社連結ベースでの開示が順次求められる。」

日本では...

「日本では23年3月期の有価証券報告書からサステナ情報の記載欄ができた。開示内容は企業に委ねられ温暖化ガスも義務ではないが、今後は求められる方向だ。サステナビリティ基準委員会(SSBJ)が国内向けのサステナ基準を開発中で、24年3月末までに草案を出す。

日本のサステナ基準のベースになるが国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)が作ったグローバル基準だ。23年6月にとりまとめたISSBの開示基準は欧州と同じくスコープ3までの排出量開示を求める。日本もほぼこのISSB基準を取り込む。金融庁は開示を求める対象企業を当初プライム上場企業かその一部とする方向で検討する。」

欧州に寄せるのか、米国基準並みでよいのか(それでも対応は難しそう)、トランプによるSEC規則撤回を期待するのか、偉い人たちがいろいろ検討しているのでしょう。

欧州より緩い米国ルールでも、温室効果ガス排出量に対する保証は求められるので、監査法人業界は、最低限その対応は必要なのかもしれません。財務諸表の注記として開示される項目もあり、それらは財務諸表監査の対象でしょうから、監査での対応も必要となります。

より専門的な解説。

2024/03/07 SECが気候関連開示規則を採択【速報解説】(PwC)

「2024年3月6日、米国証券取引委員会(SEC)は、気候関連事項のリスクと影響に関する公開企業の開示を強化する最終規則を採択しました。この新しい規則には、気候関連のリスクとリスク管理に関する開示、およびそのようなリスクに対する取締役会と経営者のガバナンスが含まれています。さらに、本規則には、厳しい気象現象およびその他の自然現象の財務的影響を監査済財務諸表の中で開示する要求事項が含まれています。大規模な登録企業は温室効果ガス排出に関する情報の開示も要求されており、これには、段階的に導入される保証の要求事項が適用されます。」

「SECは、「国際的な気候関連の報告要求や実務慣行の下での報告がどのように進展するのかを観察した上で、そのようなアプローチが投資家に対して一貫性があり、信頼性の高い比較可能な情報をもたらすのかどうかを判断する」と述べました。」

「登録企業には、年次報告書の提出後、スコープ1およびスコープ2の開示を提供するための追加の期間が与えられます。米国登録企業の場合、第2四半期のForm 10-Qの提出期限までにこの情報を提出しなければなりません。外国登録企業も同様の期限で温室効果ガスの開示を提出しなければなりません。さらに、本最終規則では、要求されるスコープ1およびスコープ2のGHG排出について、独立した保証(attestation)を取得することを企業に要求しています。この保証の要求は、限定保証から開始し、段階的に導入することが要求されています。最終的に合理的保証が義務付けられるのは、大規模早期提出会社のみです。」

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近の「企業会計」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事