会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

「空」も「海」も失態続き 日本代表「三菱重工業」に何が起きているのか(産経より)

MRJ開発遅れ、大型客船撤退…「空」も「海」も失態続き 日本代表「三菱重工業」に何が起きているのか

三菱重工業がいくつも問題事業を抱えているという記事。

いちばんひどいのはこれでしょう。

「同社が米カーニバル傘下の独アイーダ・クルーズから、総トン数が10万トンを超える大型客船2隻を受注したのは2011年。15年3月には1隻目を引き渡す予定だったが、顧客の要望を満たせず、何度も設計図を書き直させられたうえ、工事のやり直しが頻発。納入は1年後にずれ込んだ。

現在までに計上した損失は約2400億円と、約1000億円といわれる受注額をはるかに上回る。利幅の大きい大型客船を手がけることで、収益低迷にあえぐ造船事業を浮上させるもくろみは、もろくも崩れ去った格好だ。」

そのほか、MRJ開発遅れ、原子力発電所巨額賠償(7000億円)問題、南アフリカの発電所建設関連の日立製作所との損失負担問題などにふれています。

MRJはともかく、あとの2つの会計処理や開示は適切に行われているのでしょうか。

背景は...

「大型客船の損失原因を検証する社内評価委員会の木村和明委員長(三菱重工常務)は、背景に技術力への過信があったことをにおわせる。」

「同社は、本社に対応可能な人材が不足したことも事業所任せの原因になっていたとして、「事業リスクマネジメント委員会」を立ち上げる方針だ。これにより全事業で会社レベルのリスク管理を徹底し、特別損失の額を年300億円以上減らすとしている。」

特別損失も大きな金額となっています。

「三菱重工が過去10年間に計上した特別損失は、実に年平均で600億円に達する。」

金額もさることながら、毎年のように特別損失を出していて、ほとんど「特別」ではなく「経常」的になっているのも気になります。安易に「特別損失」処理を認めるべきではないのでしょう。

日立との損失負担問題についてはこちら。

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「建造は、長崎造船所の香焼(こうやぎ)工場(長崎市)で進められているが、苦戦続きだ。1番船の「アイーダ・プリマ」では、今年1月には不審火とみられる3件の火災が船内で発生。1年遅れた2016年3月にようやく引き渡した。建造中の2隻目も含めた特別損失は累計2540億円となり、2隻で1000億円とみられる受注額を大きく上回っている。」
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