会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

「会社法監査に関する実態調査-不正リスク対応基準の導入を受けて-」の公表(日本公認会計士協会)

公認会計士制度委員会研究資料第2号「会社法監査に関する実態調査-不正リスク対応基準の導入を受けて-」の公表について

日本公認会計士協会は、公認会計士制度委員会研究資料第2号「会社法監査に関する実態調査-不正リスク対応基準の導入を受けて-」を、2015年9月17日付で公表しました。

「不正リスク対応基準の適用を契機として本会の会員を対象に実施した会社法監査に関する実態調査の結果を踏まえ、監査実務上の課題の把握とその考察を行うことを目的として取りまとめた」とのことです。

主として、会社法監査の監査時間の確保の問題を取り上げています。

結論部分より。

「監査を取り巻く規制の強化が進む中で、法務省令が保障する監査期間が十分に確保されていないのではないかという事例が存在するようである。」(「おわりに」より)

「法務省令が保障する監査期間として、計算書類の全部を受領した日から4週間を経過した日を会計監査人の監査報告書日とする監査期間が確保されることなく、決算発表のスケジュールを勘案して監査報告書日が決定されているという実務が存在している。また、監査現場の実態として、計算書類の全部を受領した日が必ずしも明確とはなっていないという状況である。その結果、会計監査人の監査報告書の提出日を計算書類の全部を受領した日ではなく、決算日を基準とするような制度改正を望む意見も多数存在している。 」(同上)


(研究資料12ページより)

米国では以下のような監査基準厳格化が行われた影響で、監査報告書提出日が大幅に遅くなったそうです。日本でも、これをまねて、例えば、監査調書整理の60日ルールを、会社法監査にも当てはめるようにすれば、極端に監査報告書が早い例はなくなるでしょう(現在は、会社法監査と金商法監査を両方やっている場合は、金商法監査報告書日から60日以内となっている)。

「PCAOB は、2004 年6月9日に AS 3 を公表し、監査人の監査意見形成に至る過程の監査調書の文書化及び必要な証憑書類の入手並びに監査チームメンバーによるレビューを実施することが厳格に要求され、監査報告書を提出する時点までに全ての監査手続を完了し、監査意見表明のための十分な証拠を入手することの要求も厳格化された。また、監査報告書提出後 45 日を超えて監査調書を修正することは禁止された(AS 3 paragraph 15)。当該 AS 3 は、12 月決算会社の場合、2004 年 12 月期決算から適用され、同決算期より SOX 法による内部統制監査も実施されている。 」(研究資料19ページより)

協会で制定している監査基準委員会報告書のレベルでできることですから、やってみてはどうでしょうか。

抜本的には、会社法監査と金商法監査の一本化しかないでしょう。
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