金融庁の会計監査のあり方に関する懇談会の初会合が6日に開催されたという記事。
「同庁によると、6日の初会合では「(会計監査にあたって)職業的懐疑心が発揮できるような体制になっているか」として監査法人のマネジメントの課題を指摘する委員や、諸外国にならって監査法人を対象とするガバナンスコード(統治指針)の策定を求める委員がいたという。
懇談会は監査法人のガバナンスのほか、監査に関与する会計士の力量、会計監査の手法、監査法人のローテンション制の是非など、会計監査をめぐる幅広い論点を議論する。」
年末をめどに提言を出すそうです。ということはあと数回の会議で、何か決めることになり、たぶんその内容はすでにほぼ固まっているのでしょう。監査法人の「ガバナンスコード」ということを急に言い出したので、そのあたりでお茶を濁すのでは。「監査事務所の強制ローテーション」を本当に取り入れるのなら面白いと思いますが。あるいは、各委員の意見を羅列したような報告書かもしれません。
東芝粉飾事件がきっかけできた懇談会だと思いますが、粉飾をやったのは企業なのですから、いきなり監査の問題とするのではなく、企業の粉飾を防止するのにはどうしたらいいのかを、まず議論すべきでしょう。罰則を強化するとか、内部統制報告制度を見直すとか、いろいろありそうなものです。
「会計監査の在り方に関する懇談会」(第1回)の開催について(金融庁)
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懇談会の委員の名簿が掲載されています。東芝の監査人の重要クライアントが選ばれているのは、ちょっとおかしいのでは。また、読売新聞からも一人出ていますが、読売といえば、日経と並んで、いまだに東芝粉飾事件のことを、「不適切会計」と呼んでいる新聞です。これも不適切な選任でしょう。
会計監査のあり方提言へ 金融庁有識者懇(日経)
「会議では東芝の会計不祥事について、問題を発見できなかった理由や、問題を指摘できる人材の育成などを指摘する意見があがった。一定期間の経過後に監査法人を交代させる「ローテーション制」などについても議論が及んだ。」
だまさなければいけない相手の数が増えるほど、だましが失敗する可能性は高まるので、東芝の場合も、数年後に新しい監査法人をだまさなければならないと思ったら、粉飾しなかったかもしれません。その意味ではローテーション強制は有効でしょう。
会計監査の強化、年内にも提言 金融庁有識者会議 東芝問題受け議論(産経)
「金融庁の担当者は「新たな方策を練り上げることで、不正の端緒が見つかったときに、仁王立ちして問題を指摘できる監査人を確保していきたい」としている。」
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