日本企業が海外企業買収で多額の損失を出しているという記事。
「WHの破綻処理に伴う東芝の損失は1兆3600億円に上った。ほかにも日本郵政の豪物流子会社が4003億円、ソニーが米映画事業で1121億円、住友金属鉱山がチリ銅山で801億円、日立製作所が米原発事業664億円など、主なものだけで少なくとも2兆円を超える。」
失敗の原因は...
「一橋大学大学院の伊藤友則教授は、他社への対抗心から経営者が「どうしてもやらなければならないと思い、高い値段で無理な条件でも買収してしまう」ときなどに失敗は起きるとし、「その典型例が東芝のWH買収だ」と指摘する。「国内市場縮小の中での海外買収は投資家の納得感を得やすい」ため、その分リスクへの配慮がおろそかになるという。」
「いちよしアセットマネジメントの秋野充成執行役員は、損失拡大の背景には日本企業特有の「先送り体質」があり、「サラリーマン経営者でなかなか決断できず、さらに損失が膨らむ構造」があるとみている。伊藤教授はWHの経営は「東芝のコントロールが効かずブラックボックス化していた」という。」
「一橋大学大学院の伊藤教授は、日本の企業トップの体質として、他社を常に横目で見るサラリーマン経営者が目立ち「ある業界で1社が海外買収を始めると他社も負けじと動く。最近では飲料業界や保険業界などで買収競争が起きた」と指摘。こうした横並び体質は今後も失敗が繰り返される原因になるとみている。」
成功の秘訣は...
「M&Aによる事業拡大で実績のある日本電産の永守重信会長兼社長は、海外買収成功の秘訣として「高い値段で買わないこと。買収後も経営に心を砕くこと。事前に自社ビジネスとのシナジーを検証すること」を挙げた。「良い会社でも高ければ利益は出ない。急いではいけない。もうかるのはアドバイザーだけだ」と警告する。」
日経の「経済教室」でも海外M&Aを取り上げています。
海外M&Aの統治を問う(上)分権と集権の最適化カギ
買収判断 独立役員の目を 宮島英昭・早稲田大学教授 (日経)(記事冒頭のみ)
海外M&Aの統治を問う(下)補完関係築き価値創造を
規模の追求 効果は限定的 松本茂・同志社大学准教授 (日経)(記事冒頭のみ)
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