【トラブル】みんなで大家さん、成田「5000億円」鑑定 専門家も驚愕の中身
昨日当サイトで取り上げた、共生バンクとそのグループ企業の不動産投資商品「みんなで大家さん」の関連記事。
裁判所に提出された不動産評価鑑定書が、そうとうやばいもののようです。
「共生バンクは、インバウンド客を意識した複合商業施設の建設を計画し、成田国際空港近くにある東京ドーム10個分の広大な山林を造成中。土地の一部は主力商品「シリーズ成田」1号〜18号として証券化済みだ。今回の鑑定書が対象としたのは全45万6000m2 のうち、同社が所有権または借地権を保有する38万m2の土地。その評価額は5012億円にも上る。
本誌は6月以降に大阪府、東京都と共生バンクグループ傘下の2社の間で争われている裁判の資料を閲覧。添付の鑑定書を詳細に書き写し、最前線で活躍する不動産鑑定士たちに意見を求めた。取材に応じたプロたちは一様に驚き、ある者は怒り、ある者はあきれる様子をみせた。」
「5月30日付の鑑定書は、都内の不動産鑑定事務所(所属鑑定士2名)の代表X氏によるもの。鑑定評価額5012億円のうち、成田国際空港からの借地を除いた所有権部分19万6000m2が3411億円。これは土地造成の完了を前提とした価格で、1m2あたりの単価は174万円(1坪575万円)になる。造成前の開発素地は同157万円だ。X氏はどのように、これらの価格を導き出したのだろうか。」
「地元の不動産会社によると、成田プロジェクト計画地の本来の土地相場は1m2 あたり1万円から、高くても3万円程度だという。」
しかし、グループ会社間の転売を経て、実際に商品に組成された段階では、組み入れ価格(簿価)は170万8268円/m2(みんなで大家さん成田12号の場合)にもなっているそうです。
記事のまとめによると、この鑑定評価の問題点は...
「ベテラン不動産鑑定士たちはこう見る
①評価対象地内での事例収集…「最終的に採用した三つの取引事例は、いずれも今回の鑑定評価の対象地である、成田プロジェクト用地内で行われた取引である。このような事例を価格算定の根拠にすることは可能な限り避けるのが常識」
②利害関係人取引…「登記簿などを確認すると、事例A〜Cは売り主、買い主ともに共生バンクグループの企業である。鑑定の依頼者が手がけた取引を、躊躇(ちゅうちょ)なく事例として採用したように見えるのも問題だ。当事者を正当化する、循環鑑定にならざるを得ないのではないか」
③対象地の過大評価…「対象地は市の開発許可を受けたとはいえ、元々山林や畑が広がる市街化調整区域。商業地である成田駅前のほうが繁華性に劣ると評価し、その分、対象地の評価を高めたのは理解困難」
④その他…未竣工建物の詳細や実現可能性に関する説明が不足/ DCF法で前提とする事業計画が、全売上の85%を占める食材販売高(2234億円)に依存/借地権価格の算出で現状の15倍の賃料を想定/定期借地権による借地権価格への影響の考慮が不十分/航空機の航路直下にもかかわらず、航空法の建物高さ制限に対する言及がない、など」
鑑定士にも、注目すべき前歴があるようです。
「なお、栁瀨氏に絡んで、鑑定士X氏の名前が挙がるのはこれが初めてではない。かつて栁瀨氏が代表を務めていたコンサルティング会社、エル・シー・エーホールディングスは、有価証券報告書の虚偽記載などを当局に指摘され、旧東証2部を上場廃止となった。2009年、同社が実質的な債務超過状態にあった際、過大に評価した不動産を関係先から現物出資させ、貸借対照表上の資産を水増しした疑い。第三者委員会の報告書によると、X氏は栁瀨氏ら経営陣の依頼でこの粉飾に関わったとされる。X氏には、別のベンチャー企業の不正増資に加担した疑いで、2012年に国土交通省から業務停止1年間の処分を受けた経歴もある。」
当サイトの関連記事(2014年)(エル・シー・エーホールディングスに対する課徴金納付命令決定)