昨年の東芝の株主総会の運営について、第三者委員会が報告書を公表したという記事。
経産省(と管総理(当時官房長官)?)が暗躍し、株主に不当な影響を与えており、「株主総会は公正に運営されたものとはいえない」という結論だったそうです。
調査を行った経緯は...
「去年7月に開かれた東芝の株主総会では、いわゆる“モノ言う株主”として知られる筆頭株主の投資ファンド「エフィッシモ・キャピタル・マネジメント」が、みずから選んだ社外取締役を増やすよう求める株主提案を行いましたが、否決されました。
この総会の運営が公正だったかをめぐり、ことし3月の臨時株主総会でエフィッシモ側が提案し選任された弁護士でつくる第三者委員会が調査を行い、10日、報告書を公表しました。」
どのような不正があったか...
「報告書では、東芝が“モノ言う株主”の提案を妨げようと、経営の混乱を問題視した経済産業省と緊密に連携し、日本の安全保障にとって重要な企業への出資を規制することなどを定めた改正外国為替法に基づく権限を背景とした不当な影響を、一部の株主に与えたと指摘しています。
そのうえで、去年7月の株主総会は公正に運営されたものとはいえないと結論づけています。」
東芝の前社長が、管総理大臣(当時は官房長官)に陳情していたようです。
「第三者委員会の報告書では、去年7月の株主総会を前にした5月11日に、当時の車谷暢昭社長が、官房長官だった菅総理大臣との朝食会に出席し、その際、改正外国為替法を根拠として“モノ言う株主”への対応をまとめた「ポジションペーパー」を含む資料に基づいて、株主総会への対応を説明したと推認されるとしています。
これについて車谷前社長は、第三者委員会のヒアリングに対し、朝食会への出席について暗に認めつつ「ポジションペーパーについては記憶がない。菅氏との朝食会では個別の話はできず、会食の前後にも話はできない」などと述べたとしています。」
東芝が「物言う株主」に不当な影響 経産省と一体で 総会巡る外部調査(ロイター)
「報告書によると、東芝は同総会における「物言う株主」への対応について経産省に支援を要請。改正外国為替法に基づく権限を背景とした不当な影響を規制を期待して同省と緊密に連携し、エフィッシモに株主提案を取り下げさせようとした。報告書は「改正外為法の趣旨を逸脱する目的で不当に株主提案権の行使を制約しようとするもの」としている。」
「報告書によると、車谷氏は総会前の2020年5月11日、菅官房長官との朝食会に出席。その際、同社長が菅氏に対し、持参した資料を使って事情を説明し、株主への対応を「説明したと推認される」としている。
車谷氏は弁護士の聞き取り調査に対し、朝食会で個別の話はできないと説明したが、報告書は車谷氏の発言は信用できないと指摘した。同年7月27日の朝食会に出席した加茂正治常務(当時)はそのときの面談内容について、「強引にやれば外為で捕まえられるだろ?」とのコメントが菅氏からあったと経産省課長に説明したとしている。」
経産省は、コーポレート・ガバナンスを語るべきではないでしょう。
会社法第316条第2項に定める株式会社の業務及び財産の状況を調査する者による調査報告書受領のお知らせ(東芝)(PDFファイル)
昨年の報道。
↓
今夏の東芝株主総会、経産省参与がハーバード大基金に干渉=関係者(2020年12月)(ロイター)(再掲)
「関係者3人によると、ハーバードは経済産業省参与に5月に就任した水野弘道氏から説明を受け、議決権行使を断念した。ハーバードはその後に独自の調査を行い、水野氏の説明には法的な根拠がないと認識したという。
...
関係者2人によると、水野氏がハーバード大基金と接触したのは総会の数週間前。同基金が東芝の企業統治に不満を持っていることを知り、基金を運用するハーバードマネジメントカンパニーのN・P・ナーベカー最高経営責任者(CEO)に連絡した。3月まで日本の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の最高投資責任者を務め、米電気自動車大手テスラの社外取締役でもある水野氏は、もともとナーベカー氏の知り合いだったという。
両氏のやりとりは電話やメールで行われ、最初は友好的だった議論が、7月末の総会前の週末までには行き詰まった。外国投資家が代理人に議決権行使の内容を指示する期限が数日後に迫る中、水野氏は、会社側と対立する内容の議決権行使をした場合、改正外為法に基づく調査が行われる可能性に言及した。」
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