金融機関から融資をだまし取った容疑で逮捕された「テクノシステム」経営者を取り上げた解説記事。
この事件で、ソーシャルレンディングという仕組みにも幕が下ろされることになるようです。
「テクノ社事件は、特捜案件になったことと、小泉純一郎元首相を広告塔に使っていたことで話題を集めたが、それに加えソーシャルレンディング(SL)という金融形態に、事実上の“引導”を渡す結果にもつながった。
SLは、業者がプラットフォーム上に太陽光発電、不動産開発などの事業を開示、10%内外の利回りを謳うもの。数万円から投資可能ということで投資家の人気を集め、ブームとなった17年には業者が乱立、1年間で1300億円を集めた。
しかし、高利を約束し、それだけの金利を払って事業を成し遂げ、売却するか金融機関の融資に切り替えられる案件は多くない。SBISLの前にも、みんなのクレジット、ラッキーバンク、エーアイトラストといったSL業者が金融庁の行政処分を受けて退場。
18年7月、SLを最初に立ち上げた業界最大手のmaneoマーケットも業務改善命令を受け、SLという金融業の最後の“拠り所”となったのが、SBIホールディングスの信用力をもとにしたSBISLだった。
だが、5月24日、SBISLはテクノ事件を受けてSLからの撤退を表明。約150億円の特別損失を計上して、投資家への未償還元本の償還など残務整理に入っている。」
逮捕された人物は、「「詐欺会社のとんでもない経営者」と、批判されている」状況ですが、この記事では、やや同情的に書いています。
「××容疑者を会社立ち上げの頃から知る経営者は、「水処理から始めて食に行き、エネルギー分野に進出してSDGsに行き着くまでは目の付け所が良かった」という。
「発明家で事業家の父親の後を継ぐつもりで学生時代から各種資格を取るなど“頑張り屋”だった。詐欺事件を起こして、『SDGsはカッコだけ』と批判されるが、本人は真面目に取り組んでいた。問題は太陽光などを始めて急成長、いろんな人間が寄ってきて制御しきれなかった。それも本人の経営者としての能力不足ではあるけど、会社にいい人材を集められず、SBIなどに利用された」(同)」
記事によれば、簡単にカネを集められる仕組みにはまってしまったようです。
「老舗太陽光業者が解説する。
「投資家はネットを信じ、SL業者は事業会社にカネを貸し付け、金利を取ればいいから、まともなチェックをしない。いい加減な事業計画がまかり通り、事業規模だけはドンドン大きくなり、配当を支払うために事業をデッチ上げる自転車操業に陥って破たんする。その“ワナ”にテクノもハマったということ」
設立後、4~5年は、売上高数億円で推移していたものが、太陽光などに本格進出した15年頃から急伸して売上高100億円を突破、16年に105億円、17年に117億円となり、18年と19年は160億円だった。テクノ社元幹部は、急成長に社内体制が追いつかず、「まるで統制が取れていない状態だった」という。」
容疑者とのインタビューでは...
「容疑者は粉飾や流用など、現在、指摘されている不正を否定したうえで、SBIグループとの親密さを強調した。
「SBISLの窓口となっているのは、コンサルタントの玄海(インベストメントアドバイザー)で、そこにもSBISLにも管理料や顧問料などの形で、十分な支払いをしています。SBIエナジーは物件の買い手になってくれるハズだったし、SBI証券は上場の際、幹事証券になる予定でした。
SBISLの焦げ付きを肩代わりしたこともあります。北尾(吉孝SBIホールディングス社長)さんにも会い、グループ全体とお付合いしていた。ウチだけが悪者なんて、とんでもない話です」」
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