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会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

損失隠し 海外ファンド使い工作か(NHKより)

損失隠し 海外ファンド使い工作か

オリンパスは海外のファンドに資金調達をさせて損失を含んだ有価証券を海外の会社に買い取らせていたという記事。

「関係者によりますと、オリンパスは、バブル期の投資の失敗で抱えた巨額の損失を隠し続け、このなかで、損失を含んだ有価証券を海外の会社に買い取らせましたが、その際、シンガポールなどにあるファンドを使って資金を調達していたということです。こうした手口は「飛ばし」と呼ばれ、オリンパスは巨額の損失が表に出ないように工作していたということです。」

これまで、ジャイラス社買収関連の巨額報酬や国内3社の過大買収価格が注目されてきましたが、これらは、過去の粉飾スキームを清算するためのスキームにすぎません。2000年ごろにはじまったといわれる損失先送りスキーム(飛ばし)の全体が解明されない限り、過年度決算の修正もできませんし、事件は解決したとは言えません。

先送りされた損失の額は1000億円超と報じられています。損失の額だけで1000億円ということは、元本でいえば、それを超える金額となり、「飛ばし」の相手先にはそれだけの資金が必要になります。飛ばしの対象となった有価証券を担保にすることはできますが、それでは全く足りません(そもそも取引時の時価よりも高い金額で買い取ってもらっているため)。

考えられるのは、オリンパスが、子会社か何かを経由して相手先に資金を提供していることです。そうであれば、オリンパスの連結貸借対照表にその金額が何らかの形で計上されていることになります。そうではなく、債務保証や買い戻し条件をつけるなどの形で間接的に資金供給していれば、簿外になってしまい、発見は難しいかもしれません。

さらに、飛ばしをやっている間に、損失が500億円も増えてしまったと報じられていますが、その損失増が、本当に投資運用による損失なのか、それとも関係者が何かの名目で抜き取ったことによるものなのかは、会社の正規の内部統制下の取引でないため、検証しようがありません。会計上は、厳密にいうと、両者を区分して、抜き取られた分があれば、それは請求して回収しなければなりません。

いずれにしても、こうした取引を過去10年近くさかのぼって解明するのは、非常に難しそうです。四半期報告書の提出期限に間に合わせるというのは至難の業でしょう。
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