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会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

のれん考(下)減損判定厳しいIFRS 毎年実施企業の負荷重く 東芝、7000億円超で経営危機(日経より)

のれん考(下)減損判定厳しいIFRS 毎年実施企業の負荷重く 東芝、7000億円超で経営危機(記事冒頭のみ)

日経の「のれん」に関する連載の最終回は、のれん非償却論に少し水をかけるような内容です。海外基準のように非償却だと減損テストがたいへんだといっています。

「M&A(合併・買収)で生じる「のれん」を定期償却しない国際会計基準(IFRS)では、のれんの価値が減っていないか確認する「減損テスト」を毎年実施することが求められる。企業は経理対応や監査人との丁々発止の議論など負荷がかかる。」

2023年12月期からIFRSを採用しているアプリックスの社長は「監査法人から事業計画について精緻な数字が求められる。日本基準より負担感は強い」とコメントしています。非償却のIFRSの方が損益実態を正しく示せるとみたそうですが、監査報酬は2割増だそうです。

記事では、IFRSにおける減損テストの方法を説明しています(「割引率は類似企業を参考に算出した加重平均資本コスト(WACC)を使うことが多い」(その会社の加重平均資本コストではないというのはけっこう重要と思います))。

三菱商事の担当者のコメントでは「事業計画や割引率は正解が一つあるわけではなく策定は非常に難しい」とのことです。減損テストは11~12月頃から始めて、監査を終えるまで4~5ヶ月間かかるそうです。

大手コンサルの話として、減損テスト関係で専門家に依頼する際のコストは1件数百万円かかるとのことです。

日経の見方では「日本でのれんの非償却化を検討する際は減損テストの見直しも議論されそうだ」とのことで、日本基準の減損テストと海外基準の差異を説明しています。

また、IFRSや米国基準では、巨額減損が目立つとして、GEの例(2018年に221億ドル)などを示しています。

結論としては...

「日本基準でものれんの非償却化は減損テストや開示とセットで議論する必要がある。」

さらにやっかいなのは、日本基準の減損を見直すとなると、同じ基準で規定しているのれん以外の減損をどうするのかも考えないといけないことでしょう。

私見では、のれんとそれ以外とでは、グルーピングなども違うので、別の基準として策定するのが良いのではないかと思います。

関連する短い解説も載っています。

日本基準は2ステップ CFの割引有無 結果を左右(日経)(記事冒頭のみ)

「日本の会計基準と国際会計基準(IFRS)とではのれんの減損テストの手法が異なる。日本は「2ステップ方式」、IFRSは「1ステップ方式」といわれる。

日本では第1ステップとして減損を認識するかどうかを検討する。対象事業ののれんを含む資産の簿価に比べて、その事業の割引前の将来キャッシュフロー(CF)が小さくなっていないかどうかをみる。」

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