金融庁とその傘下の公認会計士・監査審査会は、監査監督機関国際フォーラム(IFIAR)という組織の恒久的事務局を東京に誘致すべく立候補を表明したことを、2015年1月16日に公表しました。
「監査監督機関国際フォーラム(International Forum of Independent Audit Regulators)は、監査監督の重要性に伴う活動内容の拡大及び他の国際機関との連携強化等を背景として、2014年4月ワシントン本会合において、恒久的事務局(Permanent Secretariat)を設立することに合意し、IFIAR恒久的事務局の設立候補地の募集を行うこととしました。
これを受け、金融庁及び公認会計士・監査審査会は、本事務局を東京に誘致すべく立候補を表明しました。今後はIFIAR恒久的事務局の誘致に向けた活動を行っていきます。
なお、IFIARは2017年の事務局開設を目指しています。」
16日の日経夕刊1面で大きく取り上げていましたが、金融庁のプレスリリースとは、だいぶ違うようです。
まず、日経記事では、「新たな国際機関をつくる」と書かれていますが、監査監督機関国際フォーラムはすでに2006年9月に設立されている組織です。「新たな国際機関をつくる」わけではなく、「恒久的な事務局をつくる」ことを大げさに書いたのでしょう。また、日経記事では、各国金融当局が最近になって、新たな機関(実際は事務局)をつくることを決めたような印象を与えていますが、金融庁プレスリリースによれば、昨年4月の会議ですでに合意されていたそうです。1面で取り上げるほどの重大ニュースなら、なぜ、その時点で取り上げなかったのでしょうか。
東京が立候補するというので、日経が金融庁から頼まれて、景気づけの記事を書いたということでしょうか。
日経の記事はともかく、監査事務所への規制が世界的に強化される方向であることは、いえそうです。日本の公認会計士・監査審査会が、東京への事務局誘致のために実績稼ぎをしようと変に張り切って、監査事務所を続々摘発していくことが懸念されます。
監査監督機関国際フォーラムのサイト
↓
IFIAR
世界の監査法人を国際機関で監督 金融庁発表(日経)
「世界の監査法人を監督する国際機関を2017年に設立する方向が16日、固まった。」
巨大監査法人を監督、51カ国・地域で新機関 情報共有(日経)
「欧米、アジア、中東など51カ国・地域の金融当局は、2017年をメドに監査法人を監督する新たな国際機関をつくる。世界展開する巨大な監査法人の監視には、国際的な連携が欠かせないと判断したためだ。」
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