金融庁の証券取引等監視委員会が創立25周年を迎えたという記事。
記事では「ひっそりと内部崩壊」とか「過去最大の組織的危機」とかいっていますが、実績作りのために、無理に事件化する方が、ずっと危険なのでは。
創立当初の90年代は...
「そもそもセックが誕生したのは1992年7月。きっかけは、前年に発覚した大手証券会社による反社会勢力や大株主への損失補填だった。これにより一般投資家の証券市場に対する不満がかつてないほど噴出し、公平公正で透明性のある証券市場を監視する組織の必要性が高まったのだ。
初代委員長には元検事の水原敏博氏が就任。発足メンバーの職員の大半は旧大蔵省証券局職員だった。経済事件については素人集団だったが、調査・告発のノウハウを持つ出向組の国税局査察官らが育成・指導し、証券犯罪の立件では最も難易度が高いといわれる株価操縦案件を〝初荷〟として東京地検に告発するまでにこぎつけた。
97年にはセックが打ち立てた金字塔とも賞賛される四大証券による顧客への損失補填を告発し、「証券市場の番人」としての評判を確立していった。」
人員もスタート時と比べて8倍近くまで増員されています(記事によれば18年度の定員は402人)。
「霞が関で縄張りを広げる鉄則は、とにかく実績を出し、数字を上げることに尽きる。実際、セックは右肩上がりの人員に対比させるように実績を重ねてきた。検察庁への告発は192件(18年3月末現在)に及び、インサイダー取引から粉飾決算、偽計取引、相場操縦まで証券市場にのさばる「悪」を摘発し、摘発能力の劣化に苦しむ検察庁を支える「ドブ浚い」に徹してきた。」
佐渡賢一委員長の時期に黄金期を迎えたそうですが、佐渡氏の退任後は陰りが見えているのだそうです。
「カリスマ委員長が去ったセックの勢いに陰りが見え始めたのは、データ上でも明白だ。例えば17年度の告発件数はわずか4件にとどまり、1年で最大15件も告発した佐渡時代とは比べものにならない。
つい最近も自動車部品会社の元社外取締役のインサイダー取引を摘発し、企業のガバナンスに警鐘を鳴らしたが、その一方で今年4月には、強制調査した旧村上ファンドの村上世彰元代表らによる相場操縦疑惑の起訴が見込めないとして告発を見送り、5月にもヤフーによる株式公開買い付けをめぐるインサイダー疑惑を同様の理由から告発を断念する事態になっている。全国紙社会部デスクは「セック神話の退潮を示した出来事であり、やはり佐渡氏の抜けた穴は大きいと言わざるを得ない」と話す。
佐渡体制下のセックには、証券犯罪のイロハを学ばせようと検察庁からエリート検事が相次いで送り込まれるのが通例だったが、それも今や昔。「出向組の検事が検察庁に戻っており、セックの戦力ダウンは否めない状況にある」(経済ジャーナリスト)。そして、広報事案が減少し、閑古鳥が鳴くような役所には記者たちも寄りつかなくなる。」
記事の中でふれている25周年記念行事に関するページ。
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証券取引等監視委員会創立25周年記念国際コンファレンス(金融庁)
(補足)
昨年10月頃には、あらたが限定をつけた東芝の決算を監視委が調べるという報道がなされていましたが、その後どうなっているのでしょう。数千億円規模の虚偽記載を監査人が指摘したわけですから、それをよく調べて摘発すれば、監視委の株も上がることでしょう。
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