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バーゼル銀行監督委員会による市中協議文書「予想信用損失会計に関するガイダンス」の公表(金融庁)

バーゼル銀行監督委員会による市中協議文書「予想信用損失会計に関するガイダンス」の公表について

バーゼル銀行監督委員会が、2015年2月2日、「予想信用損失会計に関するガイダンス」と題する市中協議文書を公表しました。

ごく簡単な解説

予想信用損失会計に関するガイダンス‐市中協議文書の公表について(新日本監査法人)

「本文書は、予想信用損失の会計モデルの導入及び適用、並びに関連する健全な信用リスク実務への監督上の要求事項をまとめたものであり、11の原則で構成されています。」

「バーゼル委は、コンバージェンスを推し進める意図はないとしつつも、会計基準間の共通部分に着目し、全ての国及び地域に跨る、予想信用損失会計の、高品質で頑健な一貫性のある導入の重要性を強調しています。なお、IFRS9固有の事項についてはappendixに別途定めが置かれています。」

「バーゼル委は、それらの会計基準の厳格な適用の観点から、国際的に活動する銀行に対しては、関連する会計基準に含まれる簡便法の使用の制限を期待しています。」

予想発生損失は、IFRSや米国基準の金融資産の減損に関する規定で示されている考え方だと思います。それら海外基準を採用している銀行は今後関係してくるかもしれません。日本基準の銀行も、金融庁がこのガイダンスを何らかの形で取り入れた場合には影響してくるのかもしれません(日本基準は簡便法?)。

Guidance on accounting for expected credit losses issued by the Basel Committee’(プレスリリース原文)

Comprising 11 fundamental principles, the guidance sets out supervisory expectations for banks relating to sound credit risk practices associated with implementing and applying an expected credit loss (ECL) accounting framework. It also covers supervisory expectations of how an ECL accounting framework should interact with a bank's overall credit risk practices and the regulatory framework.

会計だけでなく、銀行の信用リスク管理や、当局の規制に関する枠組みにも関係してきます。

詳しい話は、各監査法人の金融部門で研究しているはずですので、そちらに聞いてみてください。

おおよそ以下のような内容です。それぞれさらに細かく規定されています。(市中協議文書「予想信用損失会計に関するガイダンス」より)

原則1 銀行の取締役会と上級マネジメントは、貸倒引当金を首尾一貫した方法で決定するための適切な信用リスク実務(有効な内部統制を含む)を銀行が有していることを確保する責任がある。

原則2 銀行は、信用リスクを評価(査定)し測定するための、方針、手続及び統制に関して健全な方法論を採用し、文書化し、遵守しなければならない。

原則3 銀行は、貸出エクスポージャーを、信用リスクに関する共通の性質を基礎として、適切にグループ分けするプロセスを整備しなければならない。

原則4 銀行の貸倒引当金の集計額は、 Basel Core Principleによって定義されているような十分な金額でなければならない。これは、会計基準の関連する規定の目的と整合していると理解される金額である。

原則5 銀行は、内部の信用リスクモデルを適切に検証するための方針と手続を有していなければならない。

原則6 銀行の経験を積んだ信用判断は、特に、合理的に入手可能なフォワードルッキングな情報とマクロ経済的要因の考慮において、予想信用損失の評価(査定)と測定のために必須である。

原則7 銀行は、信用リスクを評価(査定)し価格付けするための共通のシステム、ツールおよびデータの強力な基礎を銀行に提供し、予想信用損失の会計処理を行うような、健全な信用リスク評価(査定)と測定のプロセスを有していなければならない。

原則8 銀行の公的な報告は、適時で関連性があり意思決定に有用な情報を提供することによって透明性と比較可能性を促進するものでなければならない。

原則9 銀行監督者は、定期的に、銀行の信用リスク実務の有効性を評価しなければならない。

原則10 銀行監督者は、銀行が引当金を決定するために用いている方法が、適用される会計フレームワークのもとで、予想信用損失の堅固な測定を生み出しているかどうかを確かめなければならない。

原則11 銀行監督者は、銀行の資本の十分性を査定する際には、銀行の信用リスク実務を考慮しなければならない。

銀行の実務はよく知りませんが、この原則のレベルでは、ごく当たり前のことが書いてあります。

やや詳しい解説

バーゼル委員会が、予想信用損失会計に関するガイダンスを提案(新日本監査法人)
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