G20の緊急首脳会合(金融サミット)が15日発表した「金融・世界経済に関する首脳会合宣言」の骨子です。
会計に関係するものも含まれています。
「複雑な金融商品に関する義務的開示の拡大、金融機関の財務状況の完全・正確な開示の確保を含め、金融市場の透明性を強化。」
「・・・各国の財務大臣に対し、以下の分野が含む追加的な提言の策定を要請
(中略)
・市場混乱時の複雑な証券についての国際会計基準の見直しと調整
(以下略)」
当然のことながら、日経新聞があおっているような時価会計の凍結などは含まれていません。
Statement From G-20 Summit(G20金融サミット声明文の原文)
金融・世界経済に関する首脳会合 宣言(仮訳)(外務省のサイトより)(日本語はこちらから)
金融機関の責任についてもふれています。損失を計上し、開示を向上させ、ガバナンスとリスク管理を強化することによって責任をとるようにといっています。
Financial institutions must also bear their responsibility for the turmoil and should do their part to overcome it including by recognizing losses, improving disclosure and strengthening their governance and risk management practices.
会計基準に関する部分の原文は以下のとおり。reviewは「検討する、見直す」という意味になりますが、特に、複雑な有価証券に関する会計基準がターゲットです。上場株式のような日々時価が決定されているような有価証券は対象外でしょう。
Reviewing and aligning global accounting standards, particularly for complex securities in times of stress
行動計画の方にはさらに詳しい記述があります。複雑で流動性のない有価証券の評価、オフバランス・ビークルの会計と開示、金融機関における複雑な金融商品の開示があげられています。
The key global accounting standards bodies should work to enhance guidance for valuation of securities, also taking into account the valuation of complex, illiquid products, especially during times of stress.
Accounting standard setters should significantly advance their work to address weaknesses in accounting and disclosure standards for off-balance sheet vehicles.
Regulators and accounting standard setters should enhance the required disclosure of complex financial instruments by firms to market participants.
来年3月までに実施すべき項目となっています。
金融サミットでは追加的措置強調、市場は即効性乏しいと評価
金融サミット、時価会計の部分緩和を容認 「隠れ損失」警戒も
この日経の記事では「時価会計の見直しについて、部分緩和を容認する方針を打ち出した」とありますが、宣言文のどこにもそんなことは書いてありません(検討・見直しと緩和は違います)。むしろ、オフバランス化の会計処理基準における弱点に取り組むべき、金融商品の開示を強化すべきといっており、緩和ではなく、厳格化でしょう。会計基準が甘かったせいで投資銀行の暴走に歯止めがかけられなかったという反省があるのだと思います。
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