2023年株主総会のドタバタを振り返る…金融庁は活発化するアクティビストを規制へ
だいぶ古い記事ですが、今年6月の株主総会シーズンを振り返った記事。
金融ジャーナリストのコメント。
「「「今年は株主総会への株主提案が過去最多ですし、俗な言い方をすると今年の総会は面白かった。創業家が絡む提案が多かったし、どんでん返しや役員の総入れ替えが起きました」」
取り上げているのは、エレベーター大手のフジテック(創業家が反撃に出たが、提案はすべて否決)、トヨタ自動車(豊田章男社長が突如社長交代、気候変動に関して株主提案)、地方創生ファンドのフューチャーベンチャーキャピタル、マリコン大手の東洋建設(「創業家が「物言う株主」(アクティビスト)になった例」)、コスモエネルギーHD(アクティビストに対し企業防衛)などです。
このうち、フューチャーベンチャーキャピタルについては...
「役員総入れ替えでいえば、地方創生ファンドを手がけるフューチャーベンチャーキャピタル(本社・京都市)だ。ラブホテル経営や不動産売買で成長したDSG1(本社・名古屋市、沢田大輔社長)が今年に入り急速に株を買い増し、22%超の筆頭株主になった。株主総会にはDSG1側の株主としてPR会社や代理人弁護士が出席して議長交代を実現させるなど、用意周到に総会を運営。同社の株主提案である7人の取締役選任に成功し、経営権を争奪。新手の総会攻略を見せた。
同じジャーナリストのコメント。
「「アクティビストのおかげで企業買収防衛ビジネスは盛況です。ポイズンピル(買収防衛策の一つ)だけで何十種類とあって、そのメニューをコンサルするだけでも十分ビジネスになる。上場企業御用達の大手法律事務所には財務省の天下り官僚らがゴロゴロいます」」
金融庁の動き。
「金融庁も活発化するアクティビスト規制に動き始めている。6月5日、金融庁は大量保有報告書制度の見直しのため金融審議会の作業部会の初会合を開いた。
「背景にはファンドによる非友好的な買収が増えていることがある。現在は市場外のTOB(株式公開買い付け)だけを規制していますが今後は市場内取引でも規制をかける方針です。また、複数の投資家が水面下で手を組んで株を買い占めるウルフパック戦術(群狼戦術)も問題視されています。このような買い占めによって株価が乱高下していることを一般投資家が知らなければ、慌てて売却して不利益を被ることもある。情報を得られない一般投資家のデメリットが顕在化している。一方で、規制が明確だったなら、コスモの件では村上ファンド系側が勝利していたかもしれない。市場の透明性は大事ですが、規制を強めると市場の活性化をそぐことになるのでバランスが難しい」」
記事の最後では、ストラテジックキャピタルという「物言う株主」にインタビューしています。その一部。
「──総会前には経営者の個人攻撃をするなど、アクティビストらによる過激な情報戦もあったが、肯定するか。
「私はパフォーマンス(結果)が全てだと思っているので、探偵を使おうが違法行為でなければやってもいいと思う。しかし我々はやらない。我々は風評と世間体をとても気にしている。我々のサイトでは、すべての提案内容について公表しているが、一部の銘柄しか公開しないファンドもある。我々のほうがはるかに透明性は高いだろう」」
(補足)
金融審議会「公開買付制度・大量保有報告制度等ワーキング・グループ」(第1回) 議事次第(金融庁)
その後、7月31日にも会議が開催されていますが、なぜか、会議資料はまだ掲載されていません。