「民話集 夢見橋」に掲載された挿絵です。
2色刷りの民話集だったので、色の指し方が
少し変わっていますが、それがまた印象的な感じとなりました。
小便地蔵 〈豊橋の昔の話〉
或る秋の夕暮れ、数人の子供達が草花を集めて
御馳走を作りお地蔵様に供えて遊んでいた。
土を寄せ集めて団子を作ろうとしたが
水気がないので中々固まらない。
すると、一人の子供が小便をした。
他の子供達も、騒ぎ 乍ら小便で土を練り固め、
美味しそうな団子を作った。
其れをお地蔵様に供え、綺麗な花を飾った。
其の時、信心深い庄屋が通り掛かった。
庄屋は大変驚き「お前達は何をしているか。
お地蔵様に小便団子を上げるとは何たる事だ。
早く止めんか。」と叱り飛ばした。
今迄楽しく遊んでいた子供達は途端に静かになってしまった。
今日は良い事をしたと庄屋は足取りも軽く家に帰った。
其の夜、夢の中にお地蔵様が現れ、
「こら庄屋、何故儂が子供達と楽しく遊んでいるのを邪魔する。
以後気を付けよ。」と言って消えた。
庄屋は夜明けを待って、
子供の家を廻り「昨日は私が悪かった。
是からも、今迄通りお地蔵さんと遊んで呉れ。」と、
菓子を配って謝った。
其れ以後此のお地蔵様を小便地蔵と呼ぶ様になった。
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