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Quelque chose?

医療と向き合いながら、毎日少しずつ何かを。

DPP4阻害薬は強皮症の肺線維化を抑制するのか?

2020-02-10 | 医学・医療・健康
Soare A, et  al.
Dipeptidylpeptidase 4 as a Marker of Activated Fibroblasts and a Potential Target for the Treatment of Fibrosis in Systemic Sclerosis.
Arthritis Rheumatol. 2020 Jan;72(1):137-149. doi: 10.1002/art.41058.


DPP4(dipeptidyl-peptidase-4)阻害薬(シタグリプチン、リナグリプチンなど)と言えば、言わずと知れた糖尿病の薬(DPP-4によるインクレチン分解を抑制し、血糖上昇時の膵臓からのインスリン分泌を誘導する)。

しかし、DPP-4が分解する基質は他にもあり、また酵素作用に依存しない機能も報告されていることから、DPP-4阻害薬には、血糖コントロール以外に、他の病態に対しても応用できる可能性がありそうだ。

ということで今回の論文は、強皮症とDPP-4についての報告。

まずDPP4の発現を検討すると、強皮症の皮膚では健常人と比べ、DPP4発現細胞が増加していた。
In vitroの実験では、ヒト皮膚線維芽細胞をTGFbで刺激するとDPP-4が発現誘導され、DPP4の発現はmyofibroblastマーカーやtype I collagenの発現と関連していた。
さらに、強皮症患者由来の線維芽細胞をシタグリプチンで処理すると、TGFbによるmyofibroblastへの転移が抑制されたという。マウスによる疾患モデルにおいては、DPP-4の治療効果も一部示唆されたとのこと。

強皮症の間質性肺炎と言えば最近はNintedanibが話題であるが、まだデータが少なく、今のところは、実際どうなんだろうな・・という感じもある(先日のRheumatologistの誌面では、まだちょっと様子を見てから使おうという意見が掲載されていたし)。
しかしDPP-4阻害薬であれば、糖尿病において十分な臨床経験のある薬であり、膠原病に一定の有効性が期待できるのであれば興味深い。
今後の研究を見守りたい。

(とは言え、DPP-4が今後もし臨床応用されるとしても、血糖も下がるしそれはそれで注意が必要なのは当然ですね。)


「メアリ・スチュアート」

2020-02-07 | バレエ・ダンス・ミュージカルなど
世田谷パブリックシアターで、シラーによる戯曲「メアリ・スチュアート」を観た。
オペラやミュージカルは時々見るけれど、ストリートプレイは久しぶり。

ちなみに、こちらは群像劇だが、同時期に別のシアターで、二人芝居の「メアリー・ステュアート」も上演されていたらしいので、ややこしい。
それも、この悲劇的な女王の生き方(いや、亡くなり方か)が、様々な印象を集めながら、時代を超えて多くの人々の心を捉えずにおかないことを、明らかに示している。

今回、メアリー・スチュアートを演じたのは長谷川京子さん。美しく気高く、会った人を惹きつける、しかしやはり魔性の女だったのかと感じさせるメアリーになりきっていた。
対するは、シルビア・グラブさん演じる白塗りのイングランド女王エリザベス。これは凄かった。女王の誇り、怒り、混乱、弱さ、ずるさなどを、体中から揮発させるかのよう。

史実では生涯会うことがなかった二人を、シラーはついに相対させる。そして、それぞれに権力欲、王位の立ち位置、主張を持ちながらも、当時の時代的には「下の人間」として扱われる「女性」であるこの二人の、ひりひりするような、冷たいスパークが飛び散るような芝居を、芸達者な男性陣が取り巻く。
吉田栄作さん、ネットで褒められていた通り、本当にクズだった(褒めてる)。
三浦涼介くん、セリフが早かったが女王に向かっていく熱量がすごかった。
鷲尾真知子さんの乳母も繊細な表情が素晴らしかったです。乳母として長年愛し仕えていた女性が、断頭台に向かうために別れるとか、想像を絶しますよね。

今回は、森新太郎さんによる意欲的な演出で、シンプルを極めた舞台装置で色彩も抑えられていたが、
それが、栄華を極めていたであろう王室の生活との落差、血生臭い政変のあった時代を浮き立たせていたように思う。

世田谷パブリックシアターには初めて行ったが、コンパクトながら座席の座り心地はまずまず問題なかった。
なお、「メアリ・スチュアート」は上演時間が3時間を超える作品で、終演は22時頃になりますのでご注意を(みんな時計を見て驚いてた)。
シアターには、簡単なカフェがあります。



としまえん、閉鎖検討=跡地に「ハリポタ」施設―東京

2020-02-03 | ニュース
としまえんが、入場者数の落ち込みなどから閉園し、都の公園やハリー・ポッターのテーマパークになる見込みだとか。

私はとしまえんには行ったことがないが、”いつもあるのが当たり前”だった「子どもの遊び場」がなくなるのであれば、時代の流れとは言え少し寂しい気もする。

テーマパークと「遊び場」、あるいはそれらに向かう思いは、違うのだと思う。

テーマパークは同世代で来て楽しいところだが、
遊園地は、小さい頃に親や身近な大人に連れてきてもらった記憶の原点であることも多いだろうから。

個人的には、向ヶ丘遊園がそれに当たるかな。モノレールに乗ったものだなぁ。


あとは、なぜハリーポッターなのか。
USJにもあるのに。

桃太郎とか金太郎とか(どこかの携帯電話会社のCMみたいだ)、コナン君とかのパーク企画が難しいのだとしても、
ハリポタ?
USJにもあるよねそれ?

…ということにはならないのかな。

個人的には、大人も楽しいピタゴラスイッチパーク(仮)とかほしいなあ。


abremilastのベーチェット病への効果

2020-02-02 | 医学・医療・健康
Real-world effectiveness of apremilast in multirefractory mucosal involvement of Behcet's disease
Ann Rheum Dis 78(12): 1736, 2019

ARDのletterに掲載されていた、他の治療で効果が少なかったベーチェット病患者さん少人数(13例)での使用経験報告。

アプレミラスト6ヶ月までの投与期間で、口腔アフタについては改善を維持。
陰部潰瘍については有意ではないものの、良い傾向にあった。
関節痛についてもある程度の効果は期待できるという。
なお、途中の投与3ヶ月時点、で副作用の下痢のために3名が使用中止したとのこと。

まだまだこれからデータを蓄積していく必要はあるけれど、参考になる。