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Quelque chose?

医療と向き合いながら、毎日少しずつ何かを。

寝る前にブルーライトをカットダウンすると不眠症に有効か?

2019-02-16 | 医学・医療・健康
たまたま見つけた、少し前の論文ですが、ちょっと興味深かったので紹介します。

「不眠症のためにブルーライトを遮断する」

スマートフォンなど、ブルーライトを発する電子機器を寝る前に使うと、睡眠に関わるホルモンであるメラトニンの分泌を抑制することなどによって、睡眠の問題を悪化させる可能性があると言われています。

この研究では、就寝前にブルーライトをカットするレンズ("琥珀色"のもの)を使うことで、不眠症の人の睡眠を改善させるかどうかを検討したものです。

不眠症状をもつ患者14名(うち8名が女性、平均 46.6歳)が、ブルーライトカットレンズ、もしくは対照のレンズのいずれか(フレームは軽量のものを使用)を、連続7日間、就寝前の2時間着用し、その後4週間中断したのちにもう一方のレンズと交換してさらに7日間使い(クロスオーバー試験)、ピッツバーグ不眠症スケールthe Pittsburgh Insomnia Rating Scale (PIRS) などを用いて睡眠障害の状況を調査したというものです。

その結果、

PIRSの合計スコアおよび各サブスケールのスコアは、ブルーライトカットレンズを用いたときのほうが、クリアレンズ使用時と比べて有意に改善したとのことです (p-values <0.05)。
覚醒時間は延長し、自覚的な睡眠時間(mean subjective total sleep time (TST))や睡眠の質も改善。アクチグラフ(小型加速度センサー)を用いた睡眠時間測定でも、ブルーライトカットレンズ使用時のほうが睡眠時間が長くなっていたそうです (p = 0.035).。

ということで、
1週間にわたり、就寝前の2時間、ブルーライトカットのメガネを着用することで、不眠症患者の睡眠が改善したという結果です。

なかなか眠れないなあと悩みつつ、寝る前についついスマホを見てしまう人は(なるべく就寝前にはスマホをオフにするのが本来おすすめですが)、ブルーライトをカットするメガネを着用するようにしてみてはいかがでしょうか。メガネをかけるだけなので、特に副作用もないですしね。

Shechter A, et al.
Blocking nocturnal blue light for insomnia: A randomized controlled trial.
J Psychiatr Res. 2018 Jan;96:196-202. doi: 10.1016/j.jpsychires.2017.10.015. Epub 2017 Oct 21.


高血糖と骨折リスク:糖尿病でなくても要注意!

2019-02-16 | 医学・医療・健康
骨の「強さ」は、いわゆる「骨密度」だけではなく、骨の「質」にもよっている。
そしてその骨の「質」は、糖尿病や動脈硬化など、生活習慣病に影響される。
そういったことが、近年次第に明らかになってきています。

特に糖尿病については、高血糖状態から骨のコラーゲン分子が糖化を起こすことで骨構造の劣化が生じ、このために糖尿病患者さんでは、骨密度の低下がなくても骨折が多くなると報告されています。

しかしこの点について、これまで日本人を対象とした臨床研究はあまり見当たりませんでした。

最近、日本人男性を対象として、"高血糖状態が骨粗鬆症による骨折のリスク上昇と関連する"という知見を報告する論文が発表されましたので、以下に簡単に紹介してみます。


65歳以上の地域在住日本人男性を対象とした「藤原京スタディ」というコホート研究による解析で、空腹時血糖値とHbA1c、骨密度を解析し、骨粗鬆症による骨折の有無を調査。

1型糖尿病と確定済みであったり、チアゾリジンによる治療中であるなどの一部を除いた1,951名を解析。さまざまな背景因子や臨床データから、血糖と骨折リスクとの関連を検討しています。

血糖の状態については、空腹時血糖値とHbA1cをそれぞれ以下の3カテゴリーに分類して検討。

・正常型: 空腹時血糖が100 mg/dL未満 または HbA1cが5.7%未満

・耐糖能異常/前糖尿病型: 空腹時血糖が100 mg/dL以上126 mg/dL未満 または HbA1cが5.7%以上6.5%未満

・糖尿病型: 空腹時血糖 126 mg/dL以上 または HbA1c 6.5%以上

その結果、

・血糖値またはHbA1cが「糖尿病型」の男性は、骨粗鬆症性骨折のリスクが血糖値正常の人に比べて明らかに高い(2倍以上)

・HbA1cが「前糖尿病型」(糖尿病ほどではないが血糖が高い)の人は、主要な骨粗鬆症性骨折(脊椎、股関節、上腕骨近位部、橈骨遠位部)のリスクが、血糖が正常の人に比べて2倍程度高い

・高血糖であるほど骨折リスクが高くなるという傾向がある

ということがわかりました。

つまり、糖尿病の方はもちろん、まだ「糖尿病」と診断されていない段階でも、骨折リスクが高まった状態にあるということです。

健診で「血糖が高め」と言われたら、将来の骨折予防のために今から要注意!ですね。


Iki M, et al.
Hyperglycemic status is associated with an elevated risk of osteoporotic fracture in community-dwelling elderly Japanese men: The Fujiwara-kyo osteoporosis risk in men (FORMEN) cohort study.
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S8756328219300055

ちなみにFORMEN studyというのはFujiwara-kyo Osteoporosis Risk in Menの頭文字を取ったそうです。


「介護は程よく明るく,時に笑いを」

2019-02-03 | 医学・医療・健康
先日の週間医学界新聞(第3306号:2019年1月21日)に、作家・エッセイストの阿川佐和子さんと、高齢者心理がご専門の臨床心理士・黒川由紀子さんの対談が載っていた。

阿川さんは広く知られている通り、お父様(作家・阿川弘之氏)を介護して看取り(その経験を書かれたのがベストセラーの「看る力」であるが、すみませんまだ読んでおりません(汗))、現在は認知症のお母様を介護なさっておられる。

高齢者介護は、終わりの見えない毎日。
尊敬し敬愛してきた高齢の親に「できないこと」が増えていくのを、見守りながら支える作業が続く日々。
認知症であれば、物忘れに留まらず、妄想や暴言、徘徊などが起こり、介護する側の生活にさざ波、いや大波が立つこともある。

阿川さんはお母様の手書きのメモに、

「バカ、バカ、バカ、どんどん忘れる」

などと、記憶が難しくなっていく自分を怖れる言葉を見つけ、泣けたという。
切ない話だ。

しかし、介護の多くは人生の集大成に向かう道であるのだから、

その方の生きてきた道を照らすような、
そして周りにいる人たちも照らされて明るくなれるような、
そんな形の介護ができないだろうかと、

被介護者という大切な人と向き合いながら問うていくことになるのだろう。

対談の中で阿川さんは、忘れることは仕方がない、高齢者が好きなことを続けられることが大事なのでは、と指摘する。
阿川さんご自身は、介護される側になったら「好きなことができる」暮らし(=ゴルフだそうです)を一番望んでいる、として次の例を挙げておられる。(以下引用)

阿川 ウィーンには高齢となった音楽家たちが暮らす施設があって,入所者が演奏して過ごせるそうなんです。自分たちが若い頃から職業としてきたことを,高齢になっても必要とされる生活がある。これは理想だなと思いました。

黒川 好きなことを禁止するのではなく,人生で大切にしてきたことを普段の生活の中でも楽しめる。そんな解き放たれた環境で過ごせるといいですね。
(引用終わり)

これ、ちょっといいかなと思った。いろいろなことから解き放たれる高齢期だからこそ、好きなことができるように。

ただ、「好きなこと」をするためには、介護される側の心身がある程度自由でそれなりのお金もあり、"元気"が残っていないと難しいであろう。
また、「好きなこと」の楽しみを、それまでの人生において知っていないといけない。

多忙な日々の荒波の中、健康管理はおろか、人付き合いも、趣味も、いつの間にかどこかに行ってしまっている中高年も多いのではないかと思い、ふと自分を省みる。

私が、老後にそればかりで過ごしたいと思える、あるいは過ごせるような、「好きなこと」って何だろう?

介護について考えることは、介護を受ける側も介護する側も、若い時からの過ごし方について振り返る機会でもあるようだ。

相模大野で「メタボ&ロコモ予防講座」

2019-01-27 | 医学・医療・健康
今日は久しぶりに相模大野へ。

一般の方向け「メタボ&ロコモ予防講座」に、講師として参加してまいりました。

今回は、我々がやっている講座シリーズの中でも初めて、

地元・メガロス相模大野とのコラボとして開催されたものです。



本日、まずは集まった方から順に、参加者の皆様の体力や体組成を測定。

改めて開講のご挨拶とご説明の後、

・メタボとロコモの関連について(総論)
  ・・・私はここを担当。最後に付け足したスライドに誤字があり大変失礼しました!!(恥))

・メタボ&ロコモを予防するための食事

・メタボ&ロコモを予防するための運動

の各ミニ講義(+実技)。

そして、なんと今回はメガロス相模大野のおトクな利用券(10回分)がついており、今日からでも早速、実際に各自で筋トレや有酸素運動に取り組んでいただける!!

という企画。

講座終了後、参加者の皆様の表情は、やる気スイッチが入った!という感じでした。

2ヶ月後に成果を測定しますので、皆様それぞれのペースでぜひ頑張って下さい。


最近、医療費抑制の議論をする中で、「予防医療」を強調しすぎることは、不健康を自己責任とし、病を持つ人の差別につながるのではないかという論評があるようです。
もちろん、生活習慣病と言われる疾患群は生活習慣の他に遺伝や環境に関する因子も発症に関わっていますので、「食事と運動」だけですべてが解決するものではなく、また食事や運動の改善ができなくてもそれを非難することは間違っていると思います。そこは確認すべきですね。

ただ、不健康な食事、不活発、喫煙など、明らかに動脈硬化や運動器疾患につながると考えられる生活習慣は、やはり見直していけたらいいなと思います。


今回は初回ということもあって参加者が少なめでしたが、今後またやるかも!?です。

(・・・私も、他の先生方の講義やお話を聞きながら、まずい自分も筋トレせねば!!と思った次第でした。)