東京でカラヴァッジョ 日記

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「内藤コレクション展 ゴシック写本の小宇宙」(国立西洋美術館)

2019年10月28日 | 展覧会(西洋美術)
内藤コレクション展
ゴシック写本の小宇宙
文字に棲まう絵、言葉を超えてゆく絵
2019年10月19日〜20年1月26日
国立西洋美術館新館2階版画素描展示室
 
 
   中世ゴシック彩飾写本の美。
   図版では伝わらない、実物を見て初めて分かる物質感を含めたその美しさ。
 
 
イングランドにて1225〜35年頃制作
7つのメダイオンによる天地創造、アダムとエヴァ、カインとアベルの物語
 
 
 
 
 
   中毒学を専門とする学者・医師である内藤裕史氏(筑波大学・茨城県立医療大学名誉教授)が、2016年春に国立西洋美術館に寄贈した中世彩飾写本のコレクション約150点。
   その後に、内藤氏に賛同した長沢昭夫氏による西洋美術振興財団への寄付金をもとに内藤氏の協力を得て蒐集された、「美術館向き」「大きさ、見映え、豪華さ」をもつ中世彩飾写本12点。
   これら写本のうち50点ほどが展示されている。
 
   東京藝術大学附属図書館が所蔵するファクシミリ版の写本完本も参考展示されているが、ファクシミリ版であっても、実物の美しさには敵わない。
 
フランドル・ブルージュにて1260年頃制作
「暦」、表が7月「干草刈」、裏が8月「麦刈」
 
 
 
 
 
「彩飾写本の一枚物は昔から、何かしら後ろめたい事情によりばらされ、はぐれ者となった」
 
ロレーヌまたはシャンパーニュにて1310〜20年代に制作
水中から天の神に祈るダヴィデ王
 
 
 
 
 
「中世彩飾写本は造本の性質上、開いて展示するわけにはいかず、世界中、美術的価値の高いものほど極端に人の目に触れにくいという性質があります。」
 
「私は(完本をばらした)一枚物にこだわった。完本に比べはるかに安価で手軽であるということ以上に、最大の特長は、身近に置いて楽しめ多くの人に観てもらえるということである。」
 
パリで14世紀第二四半期に制作
ダヴィデ王:枠装飾、鳥を伴う欄外装飾
 
  
   「  」内は、会場内配布の内藤裕史氏『コレクションへの道のり』(2019年10月)より。
 
   中世彩飾写本の魅惑の世界を教えてもらう。
   貴重な個人コレクションを国立西洋美術館に寄贈いただいた内藤氏とその奥様に感謝である。


2 コメント

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Unknown (ピーチ)
2020-01-29 01:35:19
はじめまして。ピーチと申します。私も内藤コレクション展を
見てきました。中世装飾写本は本で見たことがあるくらいで
実物を初めて見ることができました。詳しい知識のない人間でも写本のもつ静かで敬虔で純粋な美しさを感じとても感動しました。それでいて植物や動物などが描かれていてどこか
楽しく自由な作者の心のようなものが伝わり親しみも感じました。長い年月を超えて今ここにある写本は本当に美しく
出会えたことが奇跡なのだなと思いました。こちらのブログで
も紹介してくださっていてとてもうれしいです!ありがとうございました。中世装飾写本に関する本も最近購入しましたので
勉強しようと思いました。
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ピーチ様 ()
2020-01-30 12:07:46
ピーチ様

はじめまして。コメントありがとうございます。
中世彩色写本、実物を見て初めて物質感を含めたその美しさを認識しました。
有名なランブール兄弟の『ベリー公のいとも豪華なる時祷書』の実物はどんなに素晴らしいのだろうかと想像しながら見てました。
展覧会は終わってしまいましたが、次の展示機会を楽しみにしているところです。
今後ともよろしくお願いいたします。
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