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ナパンガーディ《ミナミナの塩》-アーティゾン美術館のアボリジナル絵画コレクションより

2021年01月08日 | 西洋美術・各国美術
   アボリジナル・アートには、オーストラリア先住民の宗教観、死生観、世界観が強く反映されています。こうした精神世界を支える中心的な概念を「ドリーミング」と呼びます。それは祖先の精霊たちによる土地創造の物語をさし、儀式や芸術を通して現在まで受け継がれてきました。
 
ドロシー・ナパンガーディ
《ミナミナの塩》
2007年、アーティゾン美術館
 
   ナパンガーディ(1950年代初頭〜2013年)は、オーストラリア中央部に広がるタナミ砂漠のミナミナと呼ばれる地域出身です。
   この作品は、ドリーミングで語られる物語に登場する祖先の女性たちが、ミナミナから旅をした物語を表現しています。
   女性たちは道中に様々な儀式を行い、ディギンズスティックと呼ばれる長い棒を持ち素足で踊りながら地面に跡を残しました。縦横に張り巡らされた白いドットは、彼女たちが大地を移動した痕跡を表示しています。
   一方でこの作品は、ドリーミングの物語だけを描いているのではなく、タナミ砂漠にあるマッケイ湖をも表しています。
   マッケイ湖は塩湖であるため、干上がると白い不思議な模様を地面に浮かばせます。
   この作品は、女性たちが大地を旅した壮大な痕跡と、マッケイ湖の湖底から浮かび上がった白い模様が同時に表示され、カンヴァス上にモノクローム調で再構築されています。
 
部分
(以上、会場内作品解説より)
 
 
   アーティゾン美術館の「石橋財団コレクション選」では、本作品を含む3点のアボリジナル絵画を展示中(〜1/24)。
 
   アーティゾン美術館は、オーストラリアの現代アボリジニの絵画作品のコレクションを拡充したとのこと。
   次回の展覧会「Steps Ahead: Recent Acquisitions 新収蔵作品展示」(2/13〜5/9)においても、新収蔵のアボリジナル絵画が展示される予定。
 
 
   アボリジナル・アートと言えば、私的には、2008年の国立新美術館「エミリー・ウングワレー展  - アボリジニが生んだ天才画家 -」を鑑賞したことがある程度。なんかモヤモヤしながらの鑑賞だったことだけが微かに記憶に残っている。


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