東京でカラヴァッジョ 日記

美術館訪問や書籍など

「文化財よ、永遠に」展 - 泉屋博古館分館会場

2019年09月15日 | 展覧会(日本美術)
住友財団修復助成30年記念
文化財よ、永遠に
2019年9月10日〜10月27日
(前期:〜9/29、後期:10/1〜)
泉屋博古館分館
 
 
   全国4会場(東京国立博物館、九州国立博物館、泉屋博古館、泉屋博古館分館)で同時期に開催される「文化財よ、永遠に」展。
 
   今般、泉屋博古館分館会場を訪問する。
   同会場は、鎌倉時代から近代までの主に東日本に所在する絵画・工芸品を担当している。
 
   本展の特徴は、修復されて間もない作品ばかりの展示なので、全ての絵画の画面が綺麗であること。相当劣化が進んだ鎌倉時代の掛け軸も、相当クリアになっているのが楽しい。
 
 
司馬江漢
《西洋人樽造図》
江戸時代・18世紀末、東京国立博物館
修復事業者:半田九清堂
 
   展示の基本は、作品を挟んで、右のキャプションが作品情報と作品解説。作品情報には修復事業者名が必ず記載されているのがポイント。左のキャプションは、修復図版&解説。
 
司馬江漢《西洋人樽造図》の修復図版&解説
 
 
 
   私的に一番楽しみにしていたのは、重文の絵巻《長谷雄草紙》(永青文庫蔵、修復事業者:岡墨光堂)。
   通期展示だが、前後期で巻替えあり、訪問した前期は絵巻の前半部分、長谷雄と鬼の双六勝負の場面までの公開。美女が水となって流れてしまう場面など本絵巻の見どころ場面は後期公開となる。これは再訪せざるを得ない。
 
 
 
   あと、第2会場で特に興味深く見たのは、
 
円山応挙
《淀川両岸図巻》
江戸時代・1765年
アルカンシェール美術財団
修復事業者:半田九清堂
通期展示(前後期で巻替え)
 
 
 
 
狩野一信
《五百羅漢図》
江戸時代・1854〜63年
東京・増上寺
修復事業者:半田九清堂
*前後期で5幅ずつの展示
 
 
 
 
 
【本展の構成】
1   中世の仏画
2   中世の巻物
3   中国朝鮮の絵画と室町水墨
4   近世日本の絵画と工芸
5   近代日本の絵画



   本訪問は、ブロガー特別内覧会に参加させていただいたもの。

   ギャラリートークは、内覧会終了予定時刻まで1時間以上続いた盛りだくさんの内容。修復作業理解の前提となる、掛軸の「紙」の5層構造や各層の紙の種類、同じく巻物の「紙」の4層構造や各層の「紙」の種類など、構造の話を聞くのは初めてで、会場にはその解説パネルも用意されており、興味深いもの。

   本記事に掲載させていただいた会場内の画像は、「美術館より特別に撮影の許可をいただいた」ものである。
   ただし、第2会場・ホール(中国朝鮮の絵画と室町水墨、近世日本の絵画と工芸、近代日本の絵画)限りの許可なので、画像も第2会場限り。
   画像なしだが、第1会場(中世の仏画、中世の巻物)展示の、栃木・日光山輪王寺、山梨・大聖寺、神奈川・称名寺などの仏画の修復解説も楽しく見ている。
 
 
   特別内覧会の関係者の皆さまに感謝いたします。


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