東京でカラヴァッジョ 日記

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ルーヴル美術館展2015【その3】(国立新美術館)

2015年02月23日 | 展覧会(西洋美術)

ルーヴル美術館展 日常を描く-風俗画にみるヨーロッパ絵画の真髄
2015年2月21日~6月1日
国立新美術館

全83点の出品。

<構成>
プロローグI  「すでに古代において・・・」風俗画の起源
プロローグII  絵画のジャンル
第1章 「労働と日々」-商人、働く人々、農民
第2章 日常生活の寓意-風俗描写を超えて 
第3章 雅なる情景-日常生活における恋愛遊戯
第4章 日常生活における自然-田園的・牧歌的風景と風俗的情景
第5章 室内の女性-日常生活における女性
第6章 アトリエの画家

以下は、特に気になった作品を選抜して記載する。


プロローグI
 古代エジプトやギリシャの発掘品が並ぶ。

 最後になぜか1763年作の油彩画、No.7≪アモルを売る女≫。
 籠に入れられて売られる3人のアモル。そのうち1人は青い羽根の部分をつかまれて、どうですかと客の女性に差しだされている。
 絵に相応の意味はあるのだろう。
 ただ、小さな子供が売買されているように見えることに、困惑する声が周りに聞こえる。
 私としては、あんなつまみ方をされて、アモルは痛くないか、羽根がちぎれてしまわないか、と心配する。


プロローグII
 歴史画、肖像画、風景画、静物画、風俗画が各1点ずつ並ぶ。

No.11、ボージャンの静物画≪チェス盤のある静物≫。
 ボージャンは静物画で知られるが、その制作は初期の時代に限られ、基本は宗教画家として活動したらしい。現存する静物画はわずか4点で、うちルーブル美術館が2点所蔵。風俗画展にもかかわらず、そのうちの1点が出品。心して観たい。

No.12、ル・ナン兄弟の風俗画≪農民の食事≫。
 ル・ナン兄弟は2点の出品(第2章にNo.36≪トランプ遊びに講じる少年たち≫)。
 ル・ナン兄弟については、2009年のルーブル美術館展で代表作≪農民の家族≫が出品されたので、今回は期待していなかったが、本作も威厳を感じさせる農民の家族が描かれていて、なかなか惹かれるものがある。


第1章
No.24、ヘリット・ファン・ホントホルスト≪抜歯屋≫
No.25、ティエポロ≪≪大道商人≫、または≪抜歯屋≫≫

 昔はそんなに抜歯自体が見世物になりえたのか。
 往来で、鋏で抜歯する。
 前者は、気を取られた客から金品を盗もうとする輩たちがいる。
 後者は、仮面カーニバルのたいへんな人出のなか、抜歯ショーの呼び込みがなされる。

 抜歯がテーマの作品を2点も鑑賞できるなんて、初めてのこと。
 本展が楽しいのは、同テーマの絵画が複数点並ぶところにもある。


No.20、シャルダン≪買い物帰りの召使い≫
 これは、2012年のシャルダン展にも出品された作品。
 シャルダン展の時は、ほぼ独占状態で心行くまで鑑賞できたのだが、本展では大行列ができている。ただ、行列の人達は、軽く見る程度で、気持ちは次の絵に移っている。なんか複雑な心境。
 なお、シャルダンは2点の出品(第6章にNo.77≪猿の画家≫)。


第2章
No.33、ルーカス・ファン・レイデン≪トランプ占いの女≫
 初めて名を聞いた気がするが、16世紀前半の版画・絵画で知られるオランダの画家らしい。
 本作は1508-10年頃作。その時代の北方絵画というだけで、筆触に見入ってしまう。


No.42、グルーズ≪割れた水瓶≫
 一見、愛くるしい少女。
 白い衣装が乱れて片胸が見え、右手に掛けた水瓶は割れていて、ドレスで抱えている花はこぼれ落ちそうである。


第4章
No.60、フラゴナール≪嵐≫
 ロココ3巨匠の出品作品、第3章のNo.48、ヴァトー≪二人の従姉妹≫、第5章のNo.71、ブーシェ≪オダリスク≫のなかでは、動きのあるフラゴナールの作品が一番好みかな。ここは再訪のうえ検討したい。


第5章
No.69、ジュゼッペ・マリア・クレスピ≪蚤を取る女性≫
 1720-30年頃作。
 庶民の室内。天井が非常に高い。
 ベットには、白い上着とオレンジのスカートをはいた女性。蚤取りに集中している。
 ベットの上には犬がいる。
 床に脱ぎ捨てられた履物など、女性の周辺はなんかだらしない感じ。
 壁に掛けられている品々(2枚の紙(チラシ?)、ニンニク?ほか)。
 子供を抱いた男性。階段上からのぞく女性。正確な関係は分からないが、家族なのだろうか。
 よく知らない画家だが、なぜか強く惹かれる。今回の思わぬ収穫の一つである。


上記以外にも、カラッチ、ルーベンス、レンブラント、ニコラ・レニエ、コロー、オランダの画家たちなど、非常に楽しめる。
ルーブル美術館の収蔵力には改めて感心させられる。


<公式サイトより>
 2012年、日本テレビとルーヴル美術館は、長期的な展望にたった新たな協力関係を築くことに合意し、2018年から4年に1度、計5回、日本で大規模な「ルーヴル美術館展」を開催することを決定しました。本展、「ルーヴル美術館展 日常を描く―風俗画にみるヨーロッパ絵画の真髄」は、2018年から始まるシリーズに先立つ記念すべき展覧会。これにより日本テレビは、2034年までの20年間に合計6回のルーヴル美術館展を日本で開催することになり、本展の開催発表を機に、「日本テレビ ルーヴル美術館展 20年プロジェクト」を立ち上げます。


 それは楽しみなことであるが、まずは、本展を再訪して風俗画たちを楽しみたい。



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